妲己 1964年映画版

1964年の古装映画。香港の邵氏兄弟有限公司と韓国の申氏公司の合作。
中国殷(商)の時代を舞台に、傾国の美女妲己の半生を描く。

あらすじ
時代は殷の末期。紂王は外征を繰り返し多大な富を得ていたが、そのために民は疲弊しきっていた。ある年、紂王は水害のため朝貢出来なかった冀州の蘇護を反逆者とみなし一方的に攻撃、娘の妲己を戦利品として手に入れる。妲己は夏の桀王が一人の美女によって堕落し滅亡した故事に倣い、自らも紂王に従う振りをしつつ、内部から国を滅ぼそうとする。そんな中、かつて恋仲にあった姫発(武王)が殷へ反乱を起こそうとしており…。

妲己といえばご存じ中国きっての悪女。が、本作では終始か弱い悲劇のヒロインとして描かれており、彼女にまつわる邪悪なエピソードはほぼ紂王へ押しつけ。史書で彼女を殺したとされる姫発とは音楽を通した知己で恋仲という設定まである。とにかく改編の量が凄まじく、よくある妲己のイメージのまま観賞するとかなり面食らう。
肝心の復讐にしても、妲己はほぼ泣いてるだけで何にもせず、侍女の智妍が次々に仇討ちを成し遂げ主人を窮地から救う。ちなみに殷へとどめをさせたのも智妍のおかげである。なんじゃそりゃ。妲己をクリーンに描写しようと意識しすぎたことが、かえってシナリオを破綻させているような。姫発が「死ぬな妲己!」なんて悲しみに暮れる台詞を吐くのは本作くらいだと思う。
殷の末期でよく言及される酒池肉林や人肉ハンバーグは大分マイルドな感じで映像化。まあ昔の大作映画だとこんなものか。別にエログロ期待して見るわけでもないけど。
中韓合作ということでお金をかけられたのか合戦シーンは大量のエキストラを動員しなかなかの迫力。ベン・ハーとかクレオパトラのような大作映画の雰囲気に近い。ラストの首都陥落も、セットを豪快に燃やしており見応え万点。
さらにさらに特筆すべきは、日本の怪獣映画で有名な伊福部昭が劇中音楽を担当していること。合戦シーンなんてまんまゴジラや地球防衛軍っぽいメロディが流れている(笑)そんなに違和感無いけどやっぱり笑っちゃう。
邪悪な妲己が見たい、という方にはちょっとがっかりな作品かもしれないが、見所たっぷりな古装大作なのでオススメ。

以下キャスト
林黛/妲己
ヒロイン。中国きっての悪女を悲劇の女性にしたてあげるのはちょっと無理があったか。善良でか弱くて…という設定からして色々違和感がつきまとう。楊貴妃とか則天武后だったらまだ善人風に描きやすいんだろうけど…。演じる林黛さんは往年の香港名女優。

丁红/智妍
妲己の侍女。父を殺され絶望している妲己に、夏の桀王の故事を語り復讐を促す。主人と共に殷の後宮入りしてからは実行役として大活躍。紂王をうまくコントロールして佞臣やイジワル皇后をかたづけたり、姫発を助けたりして結果的に殷の滅亡をアシストした。凄すぎ。結局妲己さん何もしてないんすケド…。侍女なのになぜか主人をずっと「妲己」と呼び捨て。なんで? ラストは戦乱の中、流れ矢にあたって死亡。刺さっている矢に火がついているのが凄い。

申荣钧/纣王
殷の王。短気ですぐに剣を抜く危険人物。常に周囲の人間が自分へ反抗するのではないかと疑っており、それは愛している妲己も例外ではない。

李艺春/费仲・蒋光超/尤浑
紂王の佞臣コンビ。陰口を吹き込んで邪魔者を排除する。前者は反乱軍を率いてやってきた姬发に成敗され、後者は妲己の寝こみを襲おうとしたところで機転を利かせた智妍が紂王を呼び寄せ、彼の手を借りて始末された。

南宫远/姬发(武王)
後の周の武王。音楽を通じて妲己と心を通わせる。後、処刑されて人肉スープにされかけるが、智妍によって助けられ、反乱軍を組織。殷を討ち滅ぼす。演じる南宫远は韓国の俳優さん。

杨志卿/比干
殷の忠臣。横暴三昧の紂王を諫言するが、そのせいで自害を命じられる。七竅の故事も出てくるが、さすがに胸をかっさばくようなグロい場面にはならなかった。

井淼/西伯侯(文王)
周の文王。紂王に諫言したため幽閉される。息子共々処刑されそうになったが智妍によって救出。反乱では息子が前面に出ていたので特に出番なし。ちなみに伯邑考は出てきません。

田丰/苏护
妲己の父親。史書では自分から紂王に降伏し妲己を差し出していたが、本作ではそんな間もなく殺されてしまう。

百度リンク
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