紅娘 1998年版 

1998年の大陸映画。制作は北京电影制片厂。有名な中国古典戯曲「西廂記」を原作としている。タイトル通り、侍女の紅娘が主役。有名な演員さん達の若かりし頃が見れる。

冒頭から坊さんの存在感が凄い。荘厳過ぎる音楽はどう考えても才子佳人もののオープニングではない。その後も全編にわたってやたらと坊さんが出てくる。寺とのタイアップでもやってたのだろうか? 
北京电影制片厂の古装ものだけあって画作りは美しい。ロケ地も雰囲気出てるし、衣装と小道具も凝っている。どうでもいいけど序盤の回想シーン、裸の子供達が駆け回るシーンでお尻に雑なモザイク処理がしてある。そんなんするならもうちょい撮り方考えろと……。

本編も西廂記を真面目にやる気があるんだかないんだか。鶯鶯の危機に颯爽と馬で駆けつけ、侠客のように剣をびゅんびゅん振り回す張生とか違和感ありすぎ。無駄に気合いの入った戦闘場面とか、意味も無く挿入される坊さんの日常生活描写とか、紅娘の蹴鞠ダンスとかが画面を邪魔し、ラブストーリーの要素はかなり薄め。後半は拷紅の場面以降、紅娘にスポットがうつり、何だか無情な終わり方。
大衆電影百花奨もとっていて大陸での評価は結構高い模様。画面は美しいし名優達の若い頃が拝めるので、西廂記であることに拘らなければ結構楽しめる。

刘欣/红娘
一応主役? 乱軍を前に啖呵をきったり、奥様に毅然ともの申したり、まあ原作通りか? 拷紅場面はもっと激しい感じが良かったなぁ。ラストは色々あって一人で去って行く。ハイジブランコはリアルでやってるのだろうか。凄く危なっかしい。

苏有朋/张生
出てくるたびに剣ばっか振ってて全然勉強やってなさそうな張生。登場シーンから武侠もののヒーローっぽさ全開で違和感ばりばり。そのくせ紅娘にかっこいいところを持っていかれる。他のキャラが甲冑をまとって重々しい殺陣をやってる中、一人だけ軽功みたいなジャンプをしたり、剣で水を叩きつける必殺技みたいなものを繰り出したり…うーむ、演出の意図がよくわからん。科挙合格は即落ち二コマ。若い苏有朋が初々しくていいけど、太い眉が気になって仕方ない。

陈丽峰/崔莺莺
原作よりなよなよしさが倍増し守られヒロインに。紅娘より年下設定なのか呼び方も紅娘姐。演じている陈丽峰は本作の後ドラマ版西廂記で紅娘役をやってたりする。

王馥荔/崔夫人
命の恩人である張生に鶯鶯を嫁がせる詐欺をするのは原作通り。あまりにも聡明で奴隷としてわきまえが足りない紅娘を危険視する。おしおき棒があんまり痛くなさそう。

李建义/孙彪
紅娘が主役の作品なので、鶯鶯だけでなく紅娘にも目をつける。中盤は無駄に盛り上がる戦闘シーンを展開。

胡军/杜确
張生の友人にして白馬将軍。演じるは若かりし胡軍。昔からかっこいい役もらってますねえ。ドラマとかでは紅娘を娶ったりするけど本作ではもらい損ねた。

折建霞/秋儿
崔夫人の侍女。美人さん。