万水千山 1959年版

1959年の大陸映画。制作は八一电影制片厂。原作は同名タイトルの話劇。
先日1977年の映画版を見たので、最初の映画化であるこちらにも興味を持ち見てみました。

あらすじ
1935年。紅軍は毛沢東の指導の下、蒋介石率いる国民党軍の包囲を突破した。しかし、その後も敵の待ち受ける赤河、高大な雪山、果てしない湿地など幾多の苦難が紅軍を待ち受ける…。

先日、1977年版のレビューをした際に、人民解放軍の協力を得た雪山踏破や湿地行軍のカットがあるということを書いたんだけど、あれは私の認識ミス(百度の制作舞台裏記述を見たんですが、77年版では無く59年版のことだったようです)で、実は全部本作からの流用だったっぽい。
ほぼセット撮影だった77年版に比べ、本作は人と金が存分につぎ込まれている。現地でロケを行い、エキストラを多数動員、火薬もバンバン使っていて戦闘シーンは迫力がある。雪山は実際に登っており、広大な雪原に兵達が長い列を作っているカットは見応えあり。77年版では流された瀘定橋決死隊の活躍もちゃんと描かれ、マジで河の間に渡された細い鎖を前進して戦闘してる。フツーに狙い撃ちされそうだけどそこは物語だしまぁ…。また、何となく暢気な感じのする行軍だった77年版に対し、本作では雪山で落下死する兵や、湿地帯での疲労困憊ぶりが描かれたり、長征の過酷さも強調されている。総じて映像面の面白さは圧倒的に上だと思う。人物描写については、さすがに77年版が200分超の大作なのであちらの方が厚みもあるけれど、同時にプロパガンダの尺も凄かったので、本作の方が色々すっきりしていて見やすいかもしれない。一部キャラの最期も異なる。あと、対国民党よりも抗日が主軸に置かれてるのも特徴か。といっても、キャラ達が要所で抗日に言及するだけで、実際長征中に日本軍と戦うことは無かったけど。
長征を描いた映画として見るべきところは多いと思う。

以下キャスト
蓝马/李有国
紅軍政治教員。優れたリーダーシップで仲間を導く。渡河作戦で負傷し、その後も鉄の意志で行軍を続けたが…。

黄凯/赵志芳
紅軍戦闘隊長。各地の戦いで指揮をとる。

梁玉儒/罗顺成
紅軍副隊長にして李有国の同郷。頼れる相棒として李有国を支える。

白尔纯/小周
紅軍の若き兵士。最初は未熟だったが、長征を通して勇敢な戦士に成長していく。

李萌/李凤莲
李有国の妹。負傷した兄を気にかける。

王纯声/老周
紅軍の老兵士。炊事用の鍋を抱え雪山を上る途中、強風にあおられて転落死。その死は仲間に悼まれた。