今夜星光灿烂(今宵、星はきらめく)

1980年の中国戦争映画。制作は一电影制片厂。

ものがたり
1948年、国民党と共産党による淮海戦役が繰り広げられていた。貧農出身の楊玉香は家族を殺され、失意の中自殺を遂げようとするが、現地の若き解放軍部隊に命を救われた。最初は心を閉ざしていたが、何戦雲をはじめとする親切な兵隊によって徐々に自分を取り戻す。やがて戦線が激化すると玉香は補給要員の手伝いを始めたが、その前で若き兵士達は次々に命を落としていった。玉香は彼らの意思を継ぎ、解放軍への参加を決意。出立の晩、夜空に星が輝き、倒れていった同志達の姿に思いを馳せるのだった。

よくある解放軍バンザイ映画ではあるが、全体的にしっかりした作り。特に戦場場面の作り込みが凄く、かなり人と金がつぎ込まれている。砂だらけの塹壕戦、空を飛び交う砲弾、戦車への特攻などなど、これだけでも一見の価値あり。戦車は本物を使っているようで、車内からのアングルもあったり無駄な拘りを感じる(機種とか詳しくないので有識者がいたら教えてください)。
淮海戦役は日本では知られていないだろうけど国共内戦における大きな戦いの一つ。それもあってか、解放軍も(ちょっとカッコよく美化しすぎだけど)死傷者続出のシビアな展開。国民党側がステレオタイプな醜い悪役なのはまぁ、この時代の作品だししょうがないだろう。
勇敢な兵士の礼賛描写とか、戦士として目覚める女性とか、敗戦国かつ戦争タブーの強い日本ではこの類の映画は作れないので、そういうのが出来る中国が羨ましいなとちょっと思ったり。

以下キャスト
李秀明/杨玉香
貧農の娘。弟を地主に殺害され、父と共に役所へ訴えるも受け入れられず、失意の中で父は死亡(ここまでの流れ、劇中だとセリフも無くシーンが流れるだけなのでちょっとわかりにくい)。道中、国民党兵の横暴を見てきたため、解放軍に救われた時は男性恐怖症になっていた。戦争の中で解放軍と関わり、一人前の革命兵士に目覚めていく。
一人称が「俺」なの地味に細かい。演じる李秀明さんが美しい。1989年版の映画版紅楼夢では元春役を演じてたりする。

唐国强/何战云
解放軍部隊長。若き兵士達を率いて戦う。
演じるは中国きっての名優・唐国强。めちゃ凜々しいイケメン。

赵福余/陶俊生
指導員。他の兵士達より年配で、配属されたばかりの何战云の補佐を務める。

黄小雷/小于
解放軍電話隊員。首をくくって自殺しようとしていた玉香を助けた。中盤、決死の覚悟で敵陣に乗り込み電話線を繋ぐと、国民党司令部へ乗り込んで投稿を促す交渉の土台を作った。しかし決裂したため、その場で自爆する。

刘继忠/小郭
通信員。笑顔が爽やかなイケメン。地雷を手に戦車へ特攻をかけるが、自身も命を落とす。

爱新觉罗·宝珣/小孙
衛生兵。激化する戦闘の中で救護に従事していたが、自身も重傷を負い死亡。残された救急箱は玉香に受け継がれた。

郭刚/小邱
文書員。眼鏡をかけ常に本を持ち歩いている。玉香に「同志」の意味を教えた。部隊の中で数少ない生き残り。

周国宾/苗天英
小隊長。隻腕ながら連射銃を片手で軽々扱う勇猛な兵士。

戴兆安/小段
解放軍司令員。後方で戦線を見守るが、時々前線にも来て若い兵士達を激励する。

徐殿基/炊事班长
年配の炊事班長。玉香と行動を共にする。