射雕三部作の第二作「神雕剣侠(神鵰侠侶)」の主人公。暗いバックボーンや情熱的な性格で、金庸主人公の中でも人気キャラの一角だと思う。
劇中の活躍
売国奴・楊康と穆念慈の息子。射雕英雄伝の終盤に生まれ、郭靖にその名をつけてもらう。以後、しばらくは健やかに暮らしていたが、まだ楊過が幼い時に母は病死。その後は嘉興で盗みや物乞いをして暮らしていた。
ある日、李莫愁の復讐騒動に巻き込まれ、江南へやってきた郭靖夫婦と偶然出会う。その途中、崋山論剣で狂人となっていた欧陽鋒に助けられ、彼と義父の関係になった。郭靖夫婦に引き取られ、桃花島で暮らすようになるが、我が儘娘の郭芙とその腰巾着である武兄弟に虐められ、黄蓉からも差別的な扱いを受けたので、度々衝突を起こす。郭靖はやむなく、父の楊康も世話になった全真教へ楊過の教育を任せることとなった。
ところが、入門前のごたごたで郭靖が道士達と下から上までボコボコにしてしまったこと、師匠に選ばれた趙志敬がどうしようもない狭量人間だったため、楊過はまたしても虐められる。武術試合の時に騒ぎを起こし、全真教のお隣・古墓の孫ばあやに救って貰うも、彼女は郭大通との戦いで負傷し死亡。古墓の小龍女が身柄を引き取り、楊過を弟子とした。最初は冷淡な小龍女だったが、修行を経て次第に二人の心は近づいていく。数年後、李莫愁の襲撃がきっかけで古墓を出たが、ささいなきっかけで小龍女は失踪してしまった。その後を追う楊過は、李莫愁の弟子・陸無双や、黄薬師の弟子・程英らとの出会い、李莫愁との決戦、崋山での洪七公・欧陽鋒の対決など、様々な事件をへて成長していく。
崋山を降りた後は英雄大宴でモンゴルの刺客と戦い、一躍名をあげるも「師匠を妻にする」という世間の禁忌に触れたため、あっという間に爪弾き。そして小龍女は再び失踪。そんな彼女を追いかける途中、楊過は父親の死に郭靖が関わっていると知る。その後、絶情谷にたどり着くが、彼女は谷の主人・公孫止と婚約していた。結局、小龍女はその婚礼をキャンセルして楊過に愛を誓うが、公孫止との戦いで二人とも劇毒を負ってしまう。毒を癒すため、郭靖夫婦の殺害依頼を受けた楊過は襄陽へ向かった。しかし、モンゴルと果敢に戦う郭靖の姿を見て、楊過の決心は鈍る。その最中、またしてもささいな理由で小龍女は失踪、楊過は横暴な郭芙の振る舞いで右腕を失う。ぼろぼろの彼が行き着いたのは、謎生物の神雕がいる山だった。彼はそこで独孤九敗の重剣術を修得、全真教に乗り込んで小龍女を救い出し、婚礼の儀を行う。その後、黄蓉の頼みで絶情谷に赴き、諸々の因縁にけりをつけたが、毒に犯されていた小龍女は、十老年後の再会を約束して姿を消す。以後、楊過は再会を待ちわびながら修行に励む。
十六年後、神鵰侠として立派な侠客に成長していた彼は、郭靖の次女・郭襄と出会いしばし道中を共にした。やがて再会の日が近づき、絶情谷へやってきた楊過。姿を現さぬ小龍女に絶望するが、偶然飛び込んだ谷底で彼女は生きていた。二人はモンゴル軍の戦いに加勢し、見事ハーンを討ち取る。その後、楊過は崋山で新たな五絶に名を連ね、古墓に帰っていったのだった。
人物像
イケメン、聡明、強い義侠心などなど、両親のいいところだけを見事に受け継いでしまったキャラ。楊康の時は欠点でしかなかった狡猾さや軽薄さも、楊過にはむしろプラスに働いちゃってるのが凄い。いくら何でも補正がかかりすぎ。
偏屈な性格のせいで見落としがちだが、常識的な感覚も割と持ち合わせている。多くの金庸主人公は、幼少から閉鎖的環境で育つ(王子様な段誉、少林寺からずっと出たことがなかった虚竹、無人島で両親と暮らした張無忌、異民族の世界にいた郭靖)ので、冒険に出た途端右往左往してしまうが、楊過の場合、孤児として世間に揉まれつつ成長したこともあり、最初からとても自立している。基本的に黄蓉の後ろをついていくだけの郭靖、基本的に状況に流されまくりな張無忌あたりと比べれば、その差がよくわかる。
世間に対する数々の反抗も、師弟が結婚出来ないしきたりや、目上を敬うという礼儀を理解したうえでの行動であり、楊過に常識が欠如しているわけではない。あくまで自分の意志を貫こうとする信念がそうさせるのだ。常に自分で考え、動くことが出来る部分は、他の金庸主人公に無い魅力なのでは。
郭靖・黄蓉への仇討ちに関しても、本人の猜疑心や思いこみが強すぎるきらいはあるが、そもそも大抵の金庸主人公は仇討ちが絡むと冷静でなくなるので、楊過が別段酷いわけではない。何より、楊康の死に郭靖夫婦が絡んでいたことは半ば事実だったし。
そういうわけで、魅力たっぷりの主人公なのは間違いない……のだが、正直いって小龍女との恋愛描写は色々問題がある。
この二人、金庸作品ではベストカップルとして名高い。師弟という禁じられた関係をはじめ、二人の間に塞がる幾多の障害を乗り越えて結ばれました!というあたりが大きいのだろうが、ストーリー上の展開はともかく、恋人としての関係はちっとも理想的では無いように思う。
まずこのカップル、全然意志疎通が出来ていない。本編でしょっちゅう出会っては別れを繰り返すのだけれど、そのパターンが毎回まったく同じ。小龍女が理由をつけて楊過の前から消える→致死の毒を浴びたり、腕を切り落とされたりしながら、楊過はやっとの思いで小龍女と再会→俺達はもう離れない、永遠に一緒だ!→小龍女再び理由をつけて失踪…。これが延々と続く。一度や二度はまあいい。小龍女は世間のせの字もわからん天然師匠。しかし、三度や四度もやられてはいい加減にしろと言いたくなる。そのうえ、失踪理由がどんどん酷い方向へエスカレートしていくからタチが悪い。
一回目…レイプした相手が楊過だと勘違い。妻にしてくれないなら別れる!と一方的に失踪。
二回目…黄蓉の言葉を真に受け失踪(ちなみに再会してから一緒にいた期間は僅か数日)。その後楊過を忘れるために他の男と結婚。でも楊過と再会した途端あっさり心変わり。おい。
三回目…楊過が兄弟喧嘩をする武兄弟のため冗談で口にした「郭芙は俺と結婚するんだ!」の台詞を真に受けて去る。この時も結局一か月くらいしか一緒にいなかった。楊過は毒で余命間もなかったんだし、せめて師匠としてそばにいるくらいのことはすべきだったんじゃ。
四回目…楊過に解毒薬を飲ませるため、相手の真意も聞かずとりあえず崖から飛び降りる。十六年後に会おうと、無責任に再会のメッセージを残す。
結果だけ見ると、小龍女の行動は楊過のためとか言いつつも自分本位なものばかりで、相手への思いやりは微塵も無い。特に絶情谷での「あなたを忘れるために結婚したけれど、再会したらやっぱりあなたと一緒にいたくなったから結婚をやめる」は酷すぎ。行動そのものが誠実じゃないし、何より本人が全然悪いことをした自覚も無さげなのがヤバい(口ではすまなかったとか言ってるけど、その程度で済む問題じゃないですからね!)。現実でやったら鬼女速案件ですよ。
周りもみんな小龍女の外見や武功を持ち上げるばかりで、彼女の常識感覚の欠如や、浅はかな思考回路に突っ込んでくれるキャラがいなかったのは描写として問題だと思う。陸無双あたりに「楊兄さまはあなたのせいで苦しんでるのよ!」くらい言わせても良かったのでは。
でも金庸先生は女の粗相は罪じゃないと思ってるフシがあるから何とも言えない。
楊過の方も、小龍女に対する恋愛観念は大分歪んでいる。そもそも初期の楊過にとって、小龍女は恋愛感情を抱く相手では無かった。世間からつまはじきにされていた自分を救い、武芸を教えてくれた女神的存在なのだ。だから師匠として敬愛はしても、女性とは見ていないし、情欲も無かった(古墓派の修行は情欲を殺すそうなので、その影響も多少はあるのかもしれないけど)。李莫愁は古墓へ襲撃に来た時、男と数年同居している小龍女が未だ処女だったことに愕然としたし、黄蓉も英雄大宴後に同室にいながら節度を守っている二人に驚いていたが、これはごく自然の反応だと思う。傍から見たら、カップルとして異様なのだ。
古墓を出た後の楊過は、陸無双や完顔萍らに普通の距離感で接し、素直に可愛いと思ったり、キスや抱擁もする。ようするに、恋愛に発展しそうな、ごく普通の男女のやり取りをしていた。楊過は彼女達と接してようやく、小龍女も同じようにして欲しかった(女性として扱って欲しかった)のだと気づく。この時点で大分おかしい。楊過にとって小龍女は、偶像崇拝の対象に近かったのだ。何せ他の女性の評価基準が全部小龍女だし、陸無双達を助けたのも「小龍女と似ていたから」だ。そしてはっきり言えば、楊過はこの後も、その偶像崇拝的な思考から抜けきっていないと思う。だからどれだけ悲惨な目に遭っても、まるで意に介さず小龍女を追い続けられる。一見、愛する人のためなら命を捨てることも厭わない、という美しい構図なのだけれど、実態は楊過が小龍女という女神のため盲目的になっている、という方が近いのではないか。でなきゃ、あんな一方的なメッセージだけ残されて十六年も待てないよホント。
楊過の気持ちも考えずにただただ失踪を繰り返す小龍女と、小龍女を崇めて自分の身を投げ出し続ける楊過の姿は、理想の恋愛関係だとは到底思えない。まあ、当人達が満足しているなら別にいいんでしょうけど…。
武功
父親譲りの優れた才能を持つ(でも、明らかに父親以上の補正がかかっていると思う)。学んだ武功の数は金庸主人公の中でも多い方。そのうえオリジナルの技まで作り出している。初期は実践経験が不足していたが、持ち前のずる賢さと武功の奇抜さでカバーし、格上の相手とも渡り合った。また郭靖や張無忌が基本的に徒手だったのと異なり、常に得物を持って戦う。金庸主人公としては珍しく、毒入り暗器もガンガン使用。
神雕との特訓後は内功・外功ともに武林でも屈指のクラスへ成長。それからさらに十六年の修行を経て、五絶に並ぶ実力者となった。
逍遙遊
四大武術家の一人・洪七公の技。母親の穆念慈より僅かに習っており、肩を押された時前に倒れるという、七公の武術の癖も受け継いでいた。もっとも、母親がそれほどの腕では無かったうえ、楊過の習熟も浅く、実践で使うことは無かった。
蝦蟇功
四大武術家の一人・欧陽鋒の必殺武功。本来は習得が非常に難しい武功で、内功が未熟だと自分の身体をも傷つけてしまう。そのため息子の欧陽克にも教えていなかったが、精神の錯乱していた欧陽鋒は構わず楊過へ伝授。もっとも、ちゃんと修行する時間も無く断片的に習っただけなので、まともに使うことは出来なかった。作中では楊過が危機に陥った時、二度無意識に発動させ、武修文や鹿清徳に重傷を与えた。結果として、どちらもさらなるトラブルへ発展してしまい、楊過には何かと不幸を招く武功だった。
ニセ九陰真経
郭靖・黄蓉の策でデタラメに改変された九陰真経。これまた欧陽鋒より伝授。なんだかんだ達人の欧陽鋒は、十数年かけてこれを奇抜な強力武功へと昇華させていた。逆立ちになって経脈を逆転させる、敵の得物を噛みつきで奪うなど、常識外れのトリッキーな技が目立つ。案外有用で、楊過は李莫愁を退けたほか、経絡逆転を利用し小龍女の解毒を行ったりもした。
全真教武功
師匠の趙志敬に口伝だけ山ほど伝授された。それだけでは実戦に使えず無意味だったが、古墓に技が記されており、小龍女と共に習得。全真教武功に詳しい李莫愁すら見分けがつかないほどのレベルへ達している。玉女心経奥義「玉女素心剣法」の使用に必須の武功でもあり、重要性は高い。作中でもやたら持ち上げられるように、何だかんだ全真教は凄いのだ。
古墓派武功
古墓派の始祖・林朝英の開発した武功。小龍女より伝授される。天下無双ともされる凄まじい軽功、女性らしさを強調した美女拳法、強力な毒を持つ玉蜂とそれを利用した玉蜂針の暗器などが特徴。内功修行では精神を鎮め喜怒哀楽を消すことが重要とされる。しかし楊過、李莫愁、孫ばあや、果ては開祖の林朝英にしても割と情熱的な一面があるので、本当にその必要があるのかは疑わしい。楊過が初めてまともに学んだ武功でもあり、作中序盤では主にこれを使用して戦った。ちなみに女っぽい動作が多いのを嫌って、楊過は勝手に型を改変している。
玉女心経
古墓派の最高奥義。祖師の林朝英が全真教を打ち破るために制作した武術。どの技も全真教のあらゆる武功に対応しており、攻撃の先読み、後手からの反撃などが出来る。もちろん、全真教相手でなくても十分な強さを誇り、李莫愁は作中通してこの奥義を求め続けた。また、最終章に記された「玉女素心剣法」は、林朝英の王重陽に対する密かな思いが込められており、二人の使い手が全真剣法・玉女剣法を併せて用いることで絶大な威力を発揮する。楊過と小龍女は、単独では敵わない金輪法王に対しても、この技を使えば圧倒することが出来た。とまあ……ここまでいいことばかり書いてきたが、作中での扱いは割と不遇。使われないわけではないのだが、英雄大宴では打狗棒術や九陰真経にここぞという見せ場を奪われ、その後も楊過が弾指心通などをはじめ次々に新武功を会得していくので出番は減少。右腕を失った後はとうとう使われなくなってしまった。玉女素心剣法も、相方がしょっちゅう行方不明だったり、情花なんて都合のいい毒で使用不能に陥ったりしている。全真教に対しても、初期はともかく中盤以降は玉女心経を使わなくても勝ててしまうわけで、この技を使う必然性は無い。最初は九陰真経にも並ぶ二大奥義という扱いだったのだが…。
九陰真経
前作でも登場した武功奥義。林朝英の死後、こっそり古墓を訪れた王重陽は玉女心経を見て驚愕、それをさらに破ろうとするも、自力では無理だったので崋山論剣で得た九陰心経の技を拝借して、玉女心経を攻略した。そんなんでいいのか。劇中では、古墓のとある場所に書き記されていた。あくまで九陰心経の一部であり、楊過達の習得も割と中途半端なものに留まっている。そのため実際の戦いでも、危機的状況で偶然発動させたりするような使い方が多い。
それにしても、大伏魔拳法とか穴道を開く技はともかく、相手を操る移魂大法が入ってたのは明らかにおかしい。これで玉女心経のどの技を破るつもりだったんだ?
打狗棒術
崋山にて、丐幇の前幇主である洪七公から伝授。といってもこの時は型を習っただけで、実践には使えなかった。その後、黄蓉から秘訣を盗み聞きし、英雄大宴ではぶっつけ本番でクドゥ相手に使用。スゴい才能である。使いやすいためか、その後も要所で使用。ただし打狗棒ではなく木の枝や鉄杖などで代用している。ちなみに型だけなら、破る技も欧陽鋒から修得済み。
弾指心通・玉簫剣法
共に桃花島主・黄薬師の絶技。出会って即意気投合した彼に、対李莫愁の技として伝授してもらう。公孫止や武三通といった達人に対し、奥の手として披露し、窮地を脱した。ただし修行期間の少なさゆえ、使い慣れない描写が目立つ。それでも、武兄弟に対しては地力の差もあって圧倒した。
神雕重剣法・神雕木剣法
独孤九敗の相棒・神雕から伝授?して貰う。超重量の玄鉄検を用いる。剣法といっても型のようなものは無く、至高の内力でもって重い剣をなぎ払うだけ。拙で巧を破るの理論を突き詰めた感じ。その威力はすさまじく、達人揃いのモンゴル食客軍団をほぼ一撃で打ち破り、金輪法王とも互角以上に渡り合った。
本編後半では、重剣の発展段階として木剣での修行を開始。最終的には無剣で有剣に勝る極地に至るそうだが、十六年後の楊過がそこまで達していたかは微妙なところ。
神雕式内功
怒濤の流水に逆らって剣を振る、苦い木の実を飲む、など様々な方法による内力強化。要するにいつもの金庸ドーピング。
黯然銷魂掌
楊過が十六年の修行中、これまで学んだ多数の武功と、優れた内力を溶け込ませて編み出した奥義。江淹の「別れの賦」にちなんで名づけられている。武術の常識を無視し、全身を武器として用いる。手足で攻撃するのはともかく、腹を突き出したり頭突きをしたり、映像にすると何だか色々とんでもない技。周伯通戦で初披露し、この時は一方的に相手を追い込んだ。
悲しみの感情が無いと真価を発揮できないというよくわからん弱点があり、小龍女と再会を果たしていた後の金輪法王戦では通常の半分程度の威力に落ち込んでいた。が、死に際まで追い詰められて悲しみが再燃、逆転を果たす。
人物関係
小龍女…師匠にして最愛の妻。大体は上で述べた通り。見方によってはただの天然悪女。
郭靖…楊過の伯父。善人丸出し過ぎて、かえって楊過に疑われたりすることもあった。楊過を全真教へ送ったのは痛恨のミスだと思う。また郭芙を楊過へ嫁がせる気満々だったが、これも「結婚は親が決めるもの」という世間の常識に則っただけで、当人達の幸せや気持ちをまるで視野に入れてない。自分が黄蓉との結婚で散々苦労したのに、そういうところへは気が回らなかったのか…。
黄蓉…楊過の父親・楊康との確執もあり、楊過に冷たく接する。とはいえ、勉強を教えたり、武術を指導したり、そこまで酷い扱いではなかった。気が合う部分もあり、公孫止と小龍女の戦いでは、見事なコンビぶりを見せた。
郭芙…金庸スーパー悪女の一角。楊過と真逆で、両親の悪いところを見事にミックスしている。楊過の腕を切り落とす、治療中の小龍女に毒針を浴びせ解毒不可に追い込むなど、その罪は計り知れない。なんでコイツ五体満足で済んでるんだ…。
武兄弟…郭芙の腰巾着達。散々虐められたので仲は悪い。
郭襄…終盤のヒロイン。姉と違ってとてもいい子。神鵰侠となった楊過を慕い、一緒に冒険する。絶情谷で自害しかけた楊過を救ったのも、彼女の言葉があったゆえ。恋物語としては、楊過と郭襄の方がずっとまともに読めると思う。
陸無双…楊過ヒロインズの一人。李莫愁から追われる彼女を守ってやり、夫婦漫才をやったりした。
程英…楊過ヒロインズの一人。小龍女がいなければ、多分楊過にとって最も理想的な女性だと思う。頭に血が上っている時の楊過も、彼女の話だけはちゃんと聞く。
完顔萍…金の遺民。仇討ちを手伝う。何気に楊過のファーストキス相手。
李莫愁…師伯。序盤のライバルポジション。狡猾さでは気の合う部分もある。一緒に赤ちゃんだった郭襄のお守りをやったりした。
欧陽鋒…義父。楊過にとっては、自分に優しく接してくれた数少ない一人。
洪七公…崋山で偶然出会う。孤独に苛まれていた楊過を慰めた。楊過も七公に深く心服している。さすがである。
黄薬師…反骨精神バリバリな楊過を気に入り、自分の技を授けてやる。
一灯大師…自身の因縁絡みで楊過と何度か関わる。これまた人格者なので楊過は素直に尊敬していた。
周伯通…全真教の身内だが、天真爛漫な性格ゆえ楊過とは打ち解けた仲に。
趙志敬…全真教時代の師匠。ろくでなし。でもほんとに最初の頃はちゃんと指導してあげてた。楊過の態度にも全く問題が無いかといえばそうでもない。
尹志平…小龍女の処女を奪う。楊過は大分後半になってそのことを知ったが、周りで色々ごたごたが起きていたので恨む暇も無かった。
丘処機…全真七子の一人。ろくでなしの趙志敬を楊過の師匠に選ぶあたり、壮絶に人を見る目が無い。しかも相変わらずのスパルタ教育。楊康の失敗から何も学ばなかったのか…。それでも全真教の中では、いくらかマシと楊過に思われていた。
郭大通…全真七子の一人。楊過を救ってくれた孫ばあやを殺したたため、恨み骨髄。
金輪法王…モンゴルの国師。英雄大宴以来、楊過とはライバル関係。というか、法王が一方的に敵視していた。
公孫緑萼…楊過ヒロインズの一人。報われない可哀想な子。
孫ばあや…小龍女の下女。楊過に優しく接してくれた数少ない一人。
何鎮悪…郭靖の師匠。みんなが黙っていた楊康の悪事を、楊過本人の前で盛大にぶちまける。この時は楊過が大人になっていたからいいものの、子供の頃にそんなこと聞かされたら相当なトラウマだったと思う。
神鵰…タイトルにもなっている謎生物。楊過にとっては友達であり師匠。本編中では小龍女よりこっちと過ごしている期間の方が長かったりする。