価格:1300円 |
時空旅人の「西遊記」特集。
なかなか中国古典小説でこういうものは出ないので買ってみた。
前半の原作紹介はとてもわかりやすくまとまっていて最高に良かった(大学の先生方による紹介なので、よく世間で誤解されがちな小ネタとかに言及しているのも凄く良い)。特に三蔵一行の旅路や八十一難などが図表で出ているのは有難かった。
後半は旅行特集。普段時空旅人買ってないのでわからないのですが、こっちがメインストリームなのかな? こちらもとても面白かった。
ところでこの前買った「ビギナーズクラシック西遊記」でも思ったんだけど、西遊記物語後半部分の紹介が雑になりがちなのは何故なんですかね? 紙幅が限られているとはいえ、牛魔王とか金角・銀角みたいな有名どころばかりじゃなくて、もう少し平等にエピソードをとりあげて欲しい…。
通天河を堺に西遊記後半の話は前半と対になって同じような内容が繰り返されるから飽きる、とかくだらん評をする人もいるけれど、後半は敵の強さがますますインフレしたり、悟空にも精神的な成長が見られたり決して同じではない。ダイジェストにされてしまうのは実に歯がゆい。
あと、本書で西遊記を読むきっかけにしてもらうのならせめて入門しやすい翻案本とかもあわせて紹介してくれ~と強く思った。一般の人にいきなり岩波文庫十冊はハードルが高いのでは? まあ、私みたいなどっぷり中国オタだともう一般人の感覚とかわからんけどさ。
他にも欲をいえば中国本土のドラマ版にも触れてほしかったところ。堺正章版「西遊記」の素晴らしさは今更言うまでもないけれど、中国版には中国版の良さがある(そういえば、大陸ドラマ版西遊記をまともに紹介してる書籍って、日本にあるんだろうか…?)。というか映像作品事態日本より沢山作ってるし、こういう特集の機会に紹介しなくていつ紹介するのか。特に最後の方の広告、三国志なんかねじ込むくらいなら他に西遊記コンテンツなんていくらでもあるやろ!と感じた。
とはいえ、最近新作ゲームが発売されてますます西遊記が注目されやすくなった中で、こういう特集本が出てきたのは大変に有難いこと。
なんか文句も挟みましたが買って大満足したので、皆様も是非。