西遊記 1960年アニメ版

東映動画によるアニメ映画。原作は中国古典の名著「西遊記」…ではなく手塚治虫の「ぼくの孫悟空」とのこと。とはいえアニメ化に際しかなり改変が加えられている模様。
1958年に製作された日本初の長編アニメ「白蛇伝」で培われたノウハウが存分に活かされている。ぬるぬる動く作画は非常に見応えあり。白蛇伝同様、キャラの動きや表情はどこか参考にしたディズニーチックな面も。またミュージカル調な演出もあり、キャラがところどころで歌い出す。これもディズニー的かな。

本編の流れは大本の西遊記に沿っているが、三蔵が見事に立派な僧で、牛魔王がラスボスなあたりはいかにも日本的な西遊記。手塚治虫の漫画は未読なのでどこまで内容が反映されているかはわからないのだけど、ヘラクレスみたいな二郎真君とか、西洋の神まで同居している天界とか、パトカーやら電話やらが出てくる世界観とか、如意棒がドリルに変化したりとかの演出には手塚臭を感じる。

古き良き黎明期のアニメなので、気になる方は是非どうぞ。

以下キャスト
孫悟空/小宮山清
主人公。最初は傲慢で手のつけられない乱暴者だったが、三蔵の旅のお供を続けるうち精神的に成長していく。いまいち原著の強さが再現されていない感じだけど、尺の都合とかもあるからしょうがない。ちなみに仙人修行のシーンはバーベル持ち上げたり縄跳びをしたりもっぱら肉体強化で、全然仙術してなくて笑える。

燐々/新道乃里子
ヒロインにして悟空の彼女。まさかの悟空リア充設定。健気に尽くす姿が愛らしい。

猪八戒/木下秀雄
三蔵の二番弟子。ほぼ原著から足し引き無し。

沙悟浄/篠田節夫
三蔵の三番弟子。こちらは原著と違って超有能。傷ついた悟空を助けて牛魔王の根城に忍び込み、その後も雑魚退治に大活躍。

三蔵法師/関根信昭
天竺を目指す高僧。日本の西遊記改編パターンにならい、立派な人格者。

牛魔王/巌金四郎
火焔山の妖怪。猛牛への変身能力などを駆使して悟空と戦った。多数の配下を従えており、個別にキャラが書き分けられていてかなり気合いが入っている。

小竜/白坂道子
牛魔王の配下の小妖怪。テレビ電話で報告する場面が笑える。悟空に感化されて改心する。

羅刹女/加藤玉枝
牛魔王の妻。芭蕉扇を持つ。

金角大王/川久保潔 ・ 銀角大王/風祭修一
中ボスポジション。原作通り瓢箪で悟空を閉じ込めるが、脱出されて逆襲される。