1964年の香港古装映画。監督は李萍倩。
中国明代の著名文人・唐寅の恋愛物語。元ネタは「唐解元玩世出奇」。今古奇観に収録されていて日本でも翻訳アリ。
ものがたり
江南きっての才子・唐寅はある時、寺院で一人の美しい侍女・秋香を見かける。一目惚れしてしまった彼は、彼女が仕えている華太師のお屋敷へ書道として忍び込んだ。優れた才能で、めきめき頭角を現していきつつ、何とか秋香に想いを伝えようとするのだが…。
原作をそのまま映像化すると、40分も持たないうちに終わってしまうので、例によって色々水増しされている。唐寅の従姉妹、華太師の二人のバカ息子、唐寅に惚れる厨房侍女と彼女に惚れている下男、などなど登場人物も大幅に追加。ストーリーは原作以上にコミカルさが増していてなかなか楽しい。
この時代の映画らしく、セリフから仕草まで全て舞台調。挿入頻度がかなり多いのは、唐寅を演じた向群が越劇出身の俳優だからだろうか。終盤の嫁選びの場面は「名前が鴛鴦なら相手は張君瑞だろ」「春梅、お前の足はでかすぎるぜ」など、無礼全開な歌トークが炸裂する。
一番の見所は、現代でも色あせない長城三公主・陳思思の美しさ。60年代は彼女の絶頂期だと思う。
キャスト一覧
唐寅/向群
江南きっての才子。たまたま寺院で見かけた侍女を物にするため、身分を偽って屋敷に潜り込むトンデモ風流人。原作に比べるとややバカっぽい。演じる向群は女性。
秋香/陳思思
華家の奥方に仕える上級侍女。実は原作だと全然出番が無く、本作ではヒロインらしくなるよう登場シーンがかなり水増しされている。演じる陳思思は当時の有名なスター長城三公主(夏夢、石慧、陳思思)の一人。大きな瞳が美しい。現代ものの出演が多いので、古装の彼女を見るならこれが一番かも。
二奶奶 /朱立
華家の二番夫人。唐寅の従姉妹でもあり、彼が潜入したことにいち早く気がつく。
石榴/裘萍
華家の厨房侍女。上昇志向が強く、イケメンで才子の唐寅にアタックをかける。が、あっさりふられてしまった。
小楊/梁衡
華家の下男。石榴に惚れているが相手にされない。
華武 /李炳宏 ・華文/余婉菲
華家のバカ息子達。文章もろくに作れず、父親に度々叱責を受けている。機会を見つけては、秋香をものにしようとしていた。二人ともちゃんと奥さんがいるのに。
華太師/文逸民
華家の主人。唐寅のファンでもあり、グッズ収集に励んでいた。が、当人に会ったことがないので、まさか自分の屋敷に潜っていようとはつゆ知らず。
コメント
こんにちは。またお邪魔いたします。
この《三笑》、陳思思がバタ臭いなーと所見では思いましたが、越劇/黄梅戯が好きな私には垂涎モノでした(^o^)珍しく付け足しがそこまで変ではなかったような…。これを実家でみていたら、家族に「なんでこの人達こんなに歌ってるの」と聞かれ、答えにつまりました…。そういうものだから!と。