1980年の武侠映画。制作は香港長城電影公司。
原作は武侠小説の大家・梁羽生の代表作「白髪魔女伝」。何十回も映像化されている作品なのだけれども、恐らく物語的に一番原作に忠実なのがこの1980年版。
唯一、設定として異なるのは練霓裳がもとから変装し「白髪魔女」として名を知られている点。
あらすじ
明末。朝廷は腐敗し、各地では李自成軍による反乱が起きていた。武当派の弟子・耿紹南は朝廷の高官である卓継賢を護衛中、緑林の侠盗「白髪魔女」に襲われ負傷、輸送中の金もことごとく奪われてしまう。一方、武当派の高弟・卓一航は旅の途中で美しい娘に出会った。ほどなく、彼は朝廷との争いに巻き込まれ、そこで出くわした白髪魔女の正体が娘であることに気がつく。心を通わせる二人だったが、朝廷と武当派との戦いがその関係に亀裂を広げていき…。
原作(未読なので粗筋しか追えてないですが)をほどよく端折りつつ、うまく映画の尺におさめている感じ。先にも書いたが、本作の練霓裳は最初から白髪魔女を名乗り江湖で侠盗をしている。理由はその美貌を人に見られたくないため、わざと白髪の鬘を被り、ベールで顔を隠している、と説明される。まあ最終的には原作通り悲憤から白髪になるので、わざわざ改編する意味があったのかどうか。
80年代の制作ということもあって、アクションは現代の目から見ても十分いい動き。特に主演の鮑起静さんが滅茶苦茶頑張っていたと思う。
キャスト
鮑起静/練霓裳(白髪魔女)
江湖に名を馳せる侠盗。天山剣法の使い手。ベールに顔を包み、白髪に白い衣装の風貌をしているが、正体はまだ若い娘。卓一航と心を通わせるが、様々な障害に阻まれ決裂する。
演じる鮑起静のアクションが素晴らしい。当時31歳だとか。
方平/卓一航
武当派の高弟にして祖父と父は官僚でもある名家の生まれ。腕は立つが優柔不断。最初の練霓裳との場面、テンションの起伏が激しい彼女にドン引きしているように見えるのが何とも…笑
最後、泣きながら練霓裳にすがっている場面も実に情けない。
平凡/鉄飛龍
山中に隠棲している達人。ひょんなきっかけで練霓裳を義理の娘にする。何かと暗い本作の中で画面を明るくしてくれる陽キャラ。
劉雪華/鉄珊瑚
鉄飛龍の娘。練霓裳の山塞から剣の奥義書を盗み出したが、そのせいで朝廷からつけ狙われることに。向こう見ずだが義侠心は強い。道中で助けた岳鳴珂と恋仲になる。
演じる劉雪華は今でもテレビドラマでよく見かける名優。本作ではとっても若々しい。
蒋平/岳鳴珂
天山派の弟子。腐敗した朝廷との戦いに身を投じ、鉄珊瑚と恋仲になるが…。本作では彼のその後については描かれず。
江汉/慕容冲
朝廷随一の使い手。白髪魔女を倒すべく、武当派とも手を組む。朝廷絡みの話は長さの都合上、削られている。
?/白石道人
武当派の長老。白髪魔女に弟子を傷つけられた恨みから敵対。彼女に傾倒する卓一航に対しても不満を募らせる。原作では四長老の一人だけど、映画では尺の都合もあって一人に集約された。