
四回に渡って書いてきましたスター・ウォーズ小説EU小説「ニュー・ジェダイ・オーダーシリーズ」紹介。今回は主要登場人物の雑感と総評になります。人物は気になったキャラがいればまた書き足すかもです。
主要登場人物雑感
ルーク・スカイウォーカー
ご存じ映画旧三部作主人公。銀河大戦の英雄であるジェダイ・マスター。NJO開始時点で43~4歳。ジェダイ騎士団を再興し、その長となっている。
精神的にかなりまっとうな成長を遂げており、エピソード8で失望したファン達が望んでたのはこういうルークだったんじゃないかな~と思わせる造形。特に愛を核とした彼なりのジェダイ哲学は最後まで揺るがないだけの説得力があった。その一方、歳をとって保守的になった面もあり、ダークサイドが絡むととにかく行動力が鈍る。これは作中のキャラのみならず読者から見ても不満が溜まるところ。あと、ダークサイドの危険性を主張する割に、墜ちそうになってるジェダイのことは放置気味なのも気になる。アカデミーの方針的に、個々の修行や試練に自主性を重んじてるからかもだけど。
また政治的な陰謀についてはフォースの洞察を以てしても後手にまわることが多く、作中でもデュロの謀略、アルファ・レッドの使用といった事例を防げなかった。
他にも、大ハンマーをタヒーリに見せて「昔のジェダイの武器だ」と大真面目に説明したり、マラが焦がした料理を旨そうに食べたり、大人びたユーモアを見せることも。
味方側の最強キャラだけあってかここぞという時にしか戦線へ出ず、戦闘での活躍は次世代のソロ三兄弟や脇役達に譲りがち。ライトセーバーも数えるほどしか抜いていない。各巻感想でも述べたように、戦場へ出れば頼もしい実力を発揮する一方、妙なデバフがかかって息切れを見せる場面も少なくなかった。
実は終盤になるまでヴォング側の主要人物とろくに対面してなかったりする。そのためフォースとヴォングをめぐる問題にもいまいち関わりが薄く感じられてしまう(他の主要キャラはノム・アノアと度々因縁があるマラ、サヴォング・ラと対峙したレイア、ジェイセン、ジェイナ。後々まで広く作中人物に影響を残すアナキンとラプーング、タヒーリとネン・イェムなどがある)。
とはいえ、作中通して立派なジェダイの長としての貫禄が感じられる。
レイア・オーガナ・ソロ
同じく映画旧三部作ヒロイン。エンドアの戦い後は新共和国元老院に加わり、一時は元首も務めていた。NJO開始時点では政界を引退していたが、ユージャン・ヴォングの侵攻と同時にアウターリム代表として復帰。
ともすればジェダイの世界側に身を置きがちなルークよりも物語の中心にいるため、本シリーズの実質的な狂言回し。
中年になった今も女傑ぶりは健在、自らブラスターやライトセーバーを手に戦うことも。しかしジェダイの訓練は中途半端なためいつも苦戦を強いられる。敵の人質になったり大怪我を負ったり、ロマンス描写も多めと、若い世代のキャラ達を圧倒するヒロインぶり。歳をとってもレイアは永遠のプリンセスなんですわ。
仕事で忙しく母親の務めを果たせなかったため、大人になりかけている子供達とぶつかることも。特にジェイナとは長くぎくしゃくした関係が続いた。
映画シリーズではあまり見られなかった外交官としての高い手腕も、作中で度々描かれている。ハットでもダイエットをしたくなるほど演説が上手い、とのこと。一時期は元首を務めたこともあるが、政界での闘争には嫌気がさしており、新しい銀河同盟が設立されても自らは距離を置いていた。中年になって清濁併せ持つようになってきたのか、あるいはハンやランドのようなアウトローな人達とのつき合いが長いゆえか、目的のためなら手段を厭わない面も。インサイダーズの件もあるし、正義側でなければフツーに危険な人物ではあると思う笑
ハン・ソロ
もと密輸業者にしてもと新共和国将軍。後半では現役復帰していた。前半はチューバッカを失って落ち込みっぱなし。身内がジェダイだらけなのもあって口には出さないが疎外感もあり、だからこそチューバッカの存在が大きかったともいえる。
パイロットとしての腕は健在で、ファルコンともども戦闘で大活躍。しかし中盤までは副操縦士だったチューバッカの不在に悩まされることも。
ひねくれた性格は映画時代から変わらないが、一方で数々の修羅場を経験してきたことから難民キャンプのリーダーを務めたり、アウトロー揃いの中隊をまとめたりといった頼れる親父ぶりを発揮。また理想主義でぐちぐち理屈を並べるジェイセンや、反抗的なキップに対しては父親らしい説教も出来るなど、総じて円熟したいい男になっている。
「運命の道」で口にした「パルパティーンの鼻」は爆笑不可避のダークジョーク。
マラ・ジェイド・スカイウォーカー
もとパルパティーン皇帝配下の暗殺者。現在はルークの妻であるジェダイ・マスター。氷のような性格で内外から恐れられており、実際ジェダイとは思えないほど酷薄な台詞を吐いたりする。ルークの前では猫のように甘えるギャップがカワイイ。ただし怒らせると銀河最強のジェダイであるルークでも制御できない。またベンが生まれてからは過保護な一面も。
長年裏組織で工作や暗殺に従事していた知識や経験で、表向きの世界しか知らないルークを手厚くサポート。ジェダイ・アカデミーやカウンシルでももっぱら裏方に徹している。
戦士としての腕も一流で、経験に裏打ちされた冷静な戦い方をする。ただし前半は病気のせいで力を発揮出来ていなかった。ジェイナを弟子としているが、シリーズ内での絡みは薄め。
ジェイナ・ソロ
ハンとレイアの長女。双子の姉。若手側主役の一人。父親の気質を最も受け継いでおり、シリーズ初期から一流パイロットとしての腕を発揮。
下記の弟二人と違い、フォースの哲学うんちゃらの命題に巻き込まれなかったこともあってかストレートに成長し、物語の中でも動かしやすかったであろうキャラ。軍に属していた期間が長いため、戦争に対するスタンスもジェダイよりも軍人寄り。
エバックの戦いでサヴォング・ラを倒す大活躍を果たすが、それ以降はやたら敵に捕まったり負傷したりと損な場面が目立つ。日本版のカバーアートではよくライトセーバーを構えてるが、作中だとあまり抜く機会に恵まれてない。またセーバー戦の技量も恐らく弟達より下。
パイロットとしても意外に被弾率は高め。ローグ所属、ツイン・サンズ隊長など肩書きは立派になっていくが描写的にはいまいちこれといった活躍が少ない。まあこれはウイングメイトにジャグのような化け物とか、経験豊富な先輩格であるキップがいたりするせいでもあるんだろうけど。どうせなら映画のルークみたいに、プロトン魚雷でデス・スター級の敵を破壊する見せ場を作ってあげるべきだった気がする。
ジェイセン・ソロ
ハンとレイアの長男。双子の弟。若手側主役の一人。理想主義の悩める青年。各巻感想でも書いたけどはっきり言って主役向きの性格造形ではない。またその悩みというのが、およそ戦争という状況下では「どうでもいい」部類の悩みばかりなので、どうしても周りの同世代キャラよりジェイセンが幼稚に見えてしまう。そうした未熟さを乗り越えて成長してくれれば良かったんだけど、ヴァーゲアのしごきを経てもなおはっきりとした立ち位置が定まらず、彼の物語は全て中途半端に終わってしまった感じが強い。まあちゃんと読者が好感度を持てるキャラとして描けなかった執筆陣が悪いんですが。
あとは単純に強そうに見えない。ジェダイとしての彼独自の強みも、仲間同士を繋ぐテレパス能力、動物を操るのが上手い、といったなんだか地味なものばかり。パイロット能力ではジェイナに、フォースの強さやリーダーシップではアナキンに劣っており、セーバー戦も地の文でキップやアナキンより弱いと描かれてたりする。そのくせアナキンを練習試合で負かしたり、ボスを圧倒して撃破したりといった場面もあり、描写がちぐはぐというか納得がいかない。
後のシリーズではダークサイドに落ちてしまうが、やはりこのNJOで彼をまっとうなヒーローに出来なかったことがその一因ではなかろうか。
アナキン・ソロ
ハンとレイアの第三子。若手側主役の一人。強いフォースを持ち、新世代のリーダー格として頭角を現していく。姉ほどではないがパイロットとしての技量も高い。フォースを便利な道具として考える節があり、頻繁にジェイセンと対立していた。
銀河最強のシスだった祖父の名を受け継ぐ、チューバッカや仲間達の死を背負って成長していく、程良い強さ、センターポイントを起動・ヴォングのバイオテクノロジーでセーバーを修理するなど主役らしい特別イベントをこなす、などなどNJOのみならず将来のスピンオフを牽引出来るだけの魅力と物語を持っていたのに、中盤で殺してしまったのは明らかにシリーズ最大の失敗だったというのが私の感想。
個人的には、三兄弟の中で死ぬのはジェイナであるべきだったと思う。理由としては、アナキンとジェイセンが常にフォースをめぐる哲学で対立を繰り返しており、ジェイナは常にそのなだめ役だった。彼女が死ねば兄弟の対立をより深く・あるいは解決する方向に物語を持って行けて綺麗な流れになったのではないか。ダークサイドに墜ちる展開も、軍人として戦争の過酷さを弟達より理解していたジェイナより、仲間を多数失ってきて精神的に不安定さが垣間見えていたアナキン、理想主義で甘ったれ気味なジェイセンの方が適してた気がする。というか「征服」におけるアナキンはヴァを救ったことで、ヴォングの戦士・奴隷階級との理解者および橋渡し役になっていたはす。ジェダイがヴォングの希望になる展開をスムーズにするためにも、やはり生き延びなきゃだめだったと思う。本編では無理やりタヒーリに後を継がせたが、もとがアナキンありきのヒロインだった彼女には荷が重かった。まあとうの昔に終わってしまったシリーズに今更あれこれいってもしゃーないんですが、昔からずーっと感じてたことなので長々書かせていただきました。
チューバッカ
ハンの相棒であるウーキー。シリーズ一作目にて、ユージャン・ヴォングがサーンピダルに落下させた月に押し潰されて死亡。その死はルーク達だけでなく読者にもショックを与えた。いなくなってしまうとやはり寂しい。逆にシークエルではハンを失ったチューバッカの描写が足りなくてイラッとさせられた。
ランド・カルリジアン
ギャンブラーにして実業家。新共和国が設立した後も、相変わらずグレーな領域のビジネスを展開している。が、旧知のルークやレイアにとっては貴重な資金源や情報源であるため黒いところは見逃されてる模様。中盤の元首選挙ではカル・オマスの対立候補をハメて票を操作するというあくどいことまでやっている。いや、まずいだろ、それは……。
他にも、戦争中に様々な新兵器を開発し、同盟軍の勝利に貢献。すっかり便利屋ポジションになっている。
R2-D2 C-3PO
映画でお馴染みドロイドコンビ。R2-D2はこれまで通りルークの相棒として出番にめぐまれている。マラが料理を焦がしたことを火事と判断して騒ぐ場面など可愛さも健在。
C-3POは執筆者によってかなり扱いがブレていた気がする。ただ騒いだり皮肉を言ったりしてるだけじゃなくて、何とも形容しにくい複雑な魅力があるんだけど、それを最大限に引き出せるのはやっぱりルーカスだけなんだろうなぁとは思う。
総評
個人的に、エピソード6以降の物語としては今でもシークエル三部作よりこっちを映像化した方がよっぽど面白かっただろうという気持ちが今でもある。もちろん、旧三部作から数十年続いたスターウォーズのスピンオフシリーズは全部が全部成功していたわけではない。NJO以前でも、児童向けゆえ変な設定が盛り沢山な「ジェダイの王子」シリーズ、パルパティーン復活を描いた「ダークエンパイア」、あまりに世界観がズレてる「クリスタルスター」などファンから批判されている作品も少なくない。それでも、数十年かけて名のある作家達が堅実に物語や世界観を積み上げてきたため、ろくに下準備もせず付け焼き刃気味に作ってしまったシークエルよりは余程土台がしっかりしている。
NJOシリーズはファンからも一定の人気を得ており、邦訳の巻末解説でもその健闘ぶりが述べられている。
しかし幾つかの致命的な失敗もあり、それらが後続のスピンオフシリーズへ悪影響を及ぼしたことは否めない。もっともたるものがアナキン・ソロの死だろう。中盤までは明らかに新世代の主人公として設定・物語ともに描いてきた彼を退場させたことは、悲劇のインパクトを増す以外の意図が感じられなかった。何より、後を引き継いだジェイセンがどう考えても正当派な主役キャラではなかった。彼がスピンオフのその後を牽引出来なかったことは、後続のシリーズで結局ダークサイド墜ちにしてしまった点が証明していると思う(結局また新世代の主人公をルークの息子ベンやアラナ・ソロでリセットする羽目になっている)。
また、個別感想でも度々述べたが過去スピンオフからの掘り起こしやキャラの取捨選択には疑問が多い。過去作から続投しているのにまるで出番をあたえられないキャラ、出てきたかと思ったら死んでしまうキャラ、一方で誰も覚えていないようなキャラを持ち出して重要なポジションに据える、などファンサービスとしては雑な面が見受けられる。
評価出来るのは、映画シリーズにも引けをとらないスケールの戦いと危機を描ききったこと。そしてフォースの哲学について一定の答えを出したこと。また映画主要キャラの描写はこなれていて、シークエルで感じたような違和感は殆ど無かったことだろうか。
膨大な量があるので気軽におすすめ出来ないのだが、スターウォーズ小説シリーズにおける一つの集大成でもあるので、ファンなら是非一度読んでみて欲しい。
なお、今回はNJOシリーズの紹介のみに留まったが、以下のスピンオフ作品も読んでおくとNJOシリーズをさらに楽しめる。
・スローン三部作
・ジェダイ・アカデミー三部作
・ハンド・オブ・スローン二部作
・ローグ・プラネット
絶版になっている作品も多いので読みたければ根気よく探すしか無い。
個人的な作品ランキング
一位「アイソアへの侵攻」
初期の傑作。各キャラに満遍なく活躍の場があり、総力戦とコランの対決でもぎ取った勝利からの意外な結末など展開も素晴らしい。
二位「運命の道」
主人公達の大反撃が描かれるターニングポイントの巻。新旧ジェダイの邂逅、最後の大決戦など見所満載。
三位「陥落」
前半の山場。アナキンの死やコルサント陥落が見所。ハンとレイアの場面は感動的。
長い記事におつき合いいただきありがとうございます。気が向いたら他のレジェンズ作品についても書いていきたいです。