中国古典文学の色んな〇大作品を集めてみた

中国古典文学の併称、日本では四大奇書が一番有名かと思われますが、それ以外にもいっぱいあるので軽くご紹介。

四大名著
「三国志演義」「水滸伝」「西遊記」「紅楼夢」。本家中国における古典文学トップ作品の総称。いずれも説明無用の超名作。これらを読まずして中国古典小説は語れない。

四大奇書
「三国志演義」「水滸伝」「西遊記」「金瓶梅」。中国では明代までの総称として使われていたが、日本の世界史では未だにこちらがスタンダード。理由はわからんけれど、さっさと四大名著に改めて欲しい。

六大奇書
「三国志演義」「水滸伝」「西遊記」「紅楼夢」「儒林外史」「金瓶梅」。四大名著に「儒林外史」と「金瓶梅」を加えたもの。あまり使われないが、儒林外史が四大名著に匹敵する名作であることは間違いない。

六才子書
明末の奇才文人・金聖嘆の提唱した名作群。小説以外にも史書や詩などが入っている。当時、小説は文学としての地位が低かったが、金聖嘆は自らの思想に基づきこれらを評価した。現代でいえばケータイ小説とかSSを素晴らしい文学です!とほめているようなもん。内訳は「庄子」「離騷」「史記」「杜詩」「水滸伝」「西廂記」。ちなみに水滸伝と西廂記は、金聖嘆自身が「これが公式ばーじょんじゃあ!」と自ら改変して出版している。

四大民間伝説
「牛郎織女」「梁山伯と祝英台」「白蛇伝」「孟姜女」の四作。もしく別パターンで「梁山伯と祝英台」「白蛇伝」「柳毅伝書」「天仙配」の四作。いわゆる伝承文学なので、これといった定本が無く、大筋は同じでも地域や時代によって細部がバラバラ。また長い歴史の中で改変が繰り返され、もはや原点と別モノになっている作品も(例:白蛇伝→初期は一ページにも満たなかった素朴な志怪ものが、清末では壮大なラブアクションファンタジーに。あくまでバージョンの一つですが)。日本でも割と有名ながら、これといった翻訳作品に恵まれていないのが残念。

四大名劇
「西廂記」「牡丹亭」「桃花扇」「長生殿」。いずれも長編戯曲作品。これまた傑作揃い。嬉しいことに全て邦訳があるが、悲しいことに重たい文学全集にばかり収録されている(長生殿のみ東洋文庫。でもお値段高いんだなぁ、これが)。どこか手軽な文庫サイズで刊行してくれないものか…。

五大伝奇
「荊釵記」「劉知遠白免記」「拝月亭」「殺狗記」「琵琶記」の五作。いずれも戯曲。「琵琶記」抜きで四大伝奇と呼ぶことも。破鏡重円ものや賢妻ものが多い。古典戯曲は脚本の書き直しや改変が行われやすく、これまたバージョンによる差異が激しい。「琵琶記」と「拝月亭」は翻訳がある。

四大譴責小説
「老残遊記」「官場現形記」「二十年目睹之怪現状」「孽海花」。晩清に乱発された譴責小説群の中でも傑作とされる四作。清朝がすっかり落ち目だったので、朝廷への遠慮ない悪口が凄い。他の時代にやってたら絶対投獄されて殺されてる。「二十年目睹之怪現状」以外は翻訳あり。

十大禁書
「剪燈新話」「醋葫芦」「品花宝鑑」「隔簾花影」「国色天香」「飛花絶想」「空空幻」「玉楼春」「九尾亀」「紅楼春夢」の十作。不倫や同性愛、変態性癖など、倫理的にアウトな古典小説をまとめたもの。日本でそこそこ知られているのは「剪燈新話」「品花宝鑑」くらいか。「隔簾花影」は金瓶梅の続作で邦訳が出ている。

十大悲劇
「竇娥冤」「漢宮秋」「趙氏孤児」「琵琶記」「精忠旗」「嬌紅記」「清忠譜」「長生殿」「桃花扇」「雷峰塔」の十作。
いずれも戯曲作品。言うほど悲劇か?という作品も入ってる気がする。「雷峰塔」は白蛇伝のこと。半分は日本だとマイナー扱いだろうが、どれも名作揃いなので是非読んで欲しい。「精忠旗」「清忠譜」以外は全て翻訳がある。