サークル「青画帖」刊行の同人誌。
チャイナドレス(旗袍)の起源とその文化について、優美なイラストつきで解説している。
本編のあとがきでも触れられているように、このあたりについてわかりやすく書かれた本は日本だとなかなか見当たらない。それだけでも価値ある一冊。
旗袍自体にも様々なバリエーションがあるのだけれど、イラストのおかげで違いがとてもわかりやすい。全編フルカラーなので、旗袍の持つ柄や色の鮮やかさもたっぷり味わうことが出来る。イラストそのものにも小ネタというか、指先のポーズや、本の持ち方など、色んな部分でちゃんと中国テイストを再現されているのが素晴らしい。日本の中国・中華風作品を読んでいると、こういう部分をテキトーにしている作者が少なくないと思う。
他にも髪型や靴、アクセサリーの解説などもあるので、この時代の中華創作がしたい方には参考になるだろう。とりわけ装飾品については、清朝舞台の宮廷ドラマや映画などでも度々見かけるので「おおっ、あれってこういう名前で、こういう意味があったのか!」と発見があるはず。なかなか装飾品まで解説してくれる本は無いしね…。
コンテンツ最後の花十友(名家十友と違うのは時期のせいかな?)については私の知らないことが多くてとても勉強になった。ちょっと話題はそれるけど、桃ってあんまり服飾の花には向かないだろうか。長寿とかのめでたいイメージがあるんだけどなぁ。
本作はタイトル通りチャイナドレスの始まり部分の解説に留まっているので、是非続作のVol.2に期待したい。
中国文化が好きな人はもとより、ファッションやコスプレなどでチャイナドレスに触れている方々にも是非読んで欲しい一作。