金庸徹底考察 ヒロイン編 「神鵰剣侠」より小龍女

金庸小説「神鵰剣侠(原題:神鵰侠侶)」のメインヒロイン。
絶世の美貌と優れた武術を持つキャラ。愛弟子・楊過との禁じられた恋愛譚はファンからも人気が高い。
主人公の楊過についてはこちら

劇中の活躍
孤児として捨てられていたところを拾われ、古墓派の後継者として育てられる。他派と争ってはならぬ掟のため、そのまま古墓で一生を過ごすはずだったが、十八歳のある日、全真教から逃亡した弟子・楊過と出会ったことでその運命は大きく動き出す。育ての親代わりだった孫ばあやの頼みで、やむなく楊過を弟子入りさせ、一門の武術を教えていく。最初は冷徹に接していたが、段々と師弟の絆は深まっていった。数年が経ち、古墓派の奥義を狙う姐弟子の李莫愁が襲撃してきた。激しい激闘の中で死を覚悟した時、小龍女はそれまで秘めていた楊過への想いを打ち明ける。偶然の助けもあって李莫愁を退け、その後もさらに修行を続ける二人。しかしとある晩、小龍女は動けなくなったところを、堕落した全真教の弟子・尹志平に犯されてしまう。てっきり楊過の仕業だと勘違いした彼女は、彼のあやふやな応答を聞いて失望、行く当ても無く逃げ出してしまう。やがて放浪の末、英雄大宴で楊過と再会。半ば巻き込まれる形で、師弟は大宴に乱入してきたモンゴルの使い手達を打ち破る。大きな手柄を立てたのもつかの間、楊過が小龍女を妻にすると宣言して、師弟は結婚してはならないという武林の禁忌に触れたため、二人は英雄達からの蔑視にさらされる。小龍女は愛する楊過が人々の非難の的になってはいけないと、またしても姿を消した。
運命は再び、二人を僻地の絶情谷で引き合わせた。しかし小龍女は楊過への想いを断ち切ろうと、絶情谷の主・公孫止と婚約していたところだった。楊過の熱い心に感化され、小龍女は婚約を破棄するが、そのため公孫止の怒りを買い戦いになる。師弟は敗北し、情花の毒で苦しむことになった。公孫止の元妻・裘千尺の助けで何とか窮地を脱したものの、解毒剤を手に入れるため、楊過と共に親の仇で郭靖の暗殺に襄陽へ趣く。折しも、襄陽はモンゴル軍の襲撃を受けていた。楊過は郭靖の義侠心に心を打たれ、暗殺の決意を鈍らせていく。そのさなか、小龍女は自分が尹志平に犯されたことを知ってしまい、彼を殺すべく全真教の本観まで追跡。使い手達との乱闘で重傷を負ったところを、駆けつけてきた楊過に救出された。二人は敵を退けて古墓に戻り、密かな婚礼を遂げる。小龍女は傷が重く、楊過の情花の毒は以前として残ったまま。夫婦は静かな生活を送るが、外部の人々はそれらを放っておかなかった。郭芙や李莫愁らが古墓へ押し寄せ、一同は因縁の場所である絶情谷へ向かう。
小龍女は公孫止と一騎打ちで戦い、情花の解毒剤を奪う。しかし楊過はそれを捨ててしまった。小龍女は古墓で郭芙から事故で毒を浴びせられてしまい、余命幾ばくもない状態だった。二人で助かれないなら意味がないと楊過は考えていたのだ。
小龍女は夫を生き延びさせようと、十六年後の再会を約束した書き置きを残し、自らは崖を飛び降りた。愛する小龍女のメッセージを見た楊過は、再会を願って解毒に励み、神鵰を連れて長く江湖をさすらう。
やがて、十六年後の約束が近づいてきた。絶情谷へ趣いた楊過は、妻が現れないことに嘆き、崖へ身を投げる。
深い谷底の下、彼を待っていたのは……昔と変わらぬ姿の小龍女だった。
彼女は谷底で解毒の術を見つけ、生き延びていたのだった。
力を合わせて谷を出た二人は、襄陽での戦いに参戦、モンゴルを打ち負かす。
戦の後、華山で群雄と共にしばし安らぎの時間を過ごした夫婦は、古墓へと帰って行った。

人物
個人的に金庸ヒロインの中で最も苦手なキャラ。
神雕剣侠は金庸屈指のラブストーリーと評されているが、それは主に「禁じられた師弟の恋愛」「劇毒による命の危機」「十六年後の再会」といったドラマチックなシチュに依るところが大きく、恋愛ヒロインとしての小龍女の造形はぜんぜん魅力的ではないと思う。
彼女と楊過は作中で何度も離れ離れになっては再会を繰り返すが、(外的要因はあるにしても)離れる時は常に小龍女が楊過を置き去りにしていくパターンばかりなのだ。詳しくは下記の通り。

一回目 目隠しをされてセックスした相手が楊過だと勘違いし(本当は小龍女に想いを寄せていた尹志平の仕業だった)、彼が自分を妻にする気がないと思い込んで失踪。→これについては点穴・目隠しされても肌を合わせてる感覚はあったわけだし、さすがに気がつかない小龍女もおかしいと思う…。何年も一緒に暮らしてたのに。そもそもこの時点の楊過は、前後の台詞から明らかなようにまだ小龍女を師匠として見ていて一人の女性とは考えていない。妻だと思ってるのは小龍女の勝手な思い込みだ。本人がそれに気づけてないのもアレだし、そのうえ楊過(本当は尹志平だけど)が手を出してきた際も拒まず受け入れるのって、言っちゃ悪いけどユル股過ぎじゃないだろうか? 同意無しで目隠ししてセックスなんて、弟子が師匠にやっていいことではないだろう。「婚礼も済ませていないのに何ということを!」と怒るべきでは? ここらへん、貞操観念の硬い他の金庸ヒロインと比べるとあまりにだらしなさ過ぎる。

二回目 英雄宴で周囲から結婚を反対され、さらに黄蓉から将来について諭された結果、独りで合点して失踪。それだけならまだしも、失踪先で出会った男(公孫止)と、楊過を忘れるという目的のために婚約。でもいざ楊過と再開したらあっさり婚約破棄。→もう何も言うまい…。やることが行き当たりばったりすぎる。こんなの世間知らずだからといって許されていい話ではない。楊過にも公孫止にも不誠実。同じ婚約破棄にしても、親同士の因縁が絡んで本人の意図が無視された黄蓉(射鵰英雄伝)とか、義父の命がかかっているやむをえない状況だった張無忌(倚天屠龍記)みたいなシチュならまだ納得も出来るんだけど、小龍女の場合は自分で結婚を決めた後の掌返しだからとにかく印象が良くない。

三回目 楊過が郭芙と結婚すると勘違いしてまたも失踪。→この時、楊過は毒で残り僅かの命だったし、安易に消えたりせずそばにいてやるのが、せめて師匠としての務めではないだろうか。責任感なさすぎ。おまけに全て本人の勘違いだったというところがしょうもない。それは純真ではなくバカというのです。

四回目 楊過に毒消しを飲ませるという目的のためだけに崖からダイブ。十六年後に再開しましょうと、無責任に期待をあおるメッセージを残す(ちなみに、この時は小龍女も病におかされ助からない状態だった)→楊過を助けたい気持ちはわかるが、一緒に生き、一緒に死ぬというのじゃダメだったんだろうか? 楊過が一度毒消しを捨てたのは、二人で助かれないんじゃ意味がないから、という明確な意図があったわけだし。けれども小龍女の行動は衝動的過ぎてちゃんと考えたようには思えない。

上記のように、小龍女は楊過とろくに意思疎通が出来ていない。また彼女は基本「楊過が不幸になるから私はいない方がいい」というスタンスのため、実は愛を貫く意思も薄弱な印象を受けてしまう。おそらく、本来のコンセプトでは「愛し合う二人が外部に邪魔されながらも添い遂げる」はずのストーリーだったのが「意思疎通出来てない二人がすれ違い続ける」ものになってしまい、禁じられた恋愛というおいしいシチュすらも台無しにしている。
他にも、小龍女の処女喪失については翻訳の後書きなどにも書かれているように、当初から批判も多かったようだ。それも道理で、彼女が操を失ったことは物語上であまり重く扱われていない。むしろこのシチュが重要な意味を持つのは尹志平関連の方。楊過は小龍女が処女だろうがそうでなかろうが彼女を愛するのはわかりきっていて、二人の関係性にも大して影響がない。
本作のようなラブストーリーの土台を完璧に活かすなら、趙敏のように情熱的なキャラの方が良かったのでは、と思う。
小龍女が神雕のメインヒロインであることに、私は昔からずっと不満を抱いていて、個人的な意見をいえば楊過の恋人は程英か完顔萍の方がずっと理想的な相手だと思ってた。程英は奥ゆかしくて名門の弟子という正統派だし、何より激怒すると他人に耳を貸さなくなる楊過をなだめられる唯一の存在である(私は楊過と程英のカップリングが好きすぎて、二人が結ばれる二次創作を書いたことがある)。完顔萍は金の遺民ということで楊過とルーツの繋がりがあるし、民族の違いというドラマも作れる。それにファーストキス相手だし内気な性格もかわいい。武修文なんかにはもったいない相手だ。

横に逸れたので話を小龍女に戻すが、
・世俗を知らぬ清純な乙女
・優れた武術を持つ古墓の後継者
この二つの設定もよく噛み合ってない。
前者については、武林や社会の常識に疎く、旅に出たらお金の使い方もわからないほどもの知らず(その割に、中盤で尹志平を追いかけてた時はフツーに店で飯を注文出来るようになっていた。うーむ)。楊過と一緒に動く時も「行き先はあなたの行きたいところでいい」「何かするならあなたが決めた通りでいい」と、基本的に意志薄弱で、保護の必要な子供レベル。やたらと「せけんのひとびとはこわい」と口にしているが、ただのコミュ力不足なだけ。
その割に、一派の長、楊過の師匠としては威厳のある姿を見せたり、凡人よりも余程達観したような台詞を口にしたり、達人を前にしても毅然とした態度を見せたり、年相応の大人のような振る舞いをしている。このあたりが作中ではちぐはぐな印象を与えてしまい、キャラとしての一貫性がない。
またメタ的な話をすると、金庸作品でもかなりメアリー・スー要素が強めなヒロインだと思う。清純な乙女というだけで何もかも許されてる節があり、誰も彼女の常識外れな言動・行動を咎めない(黄蓉や趙敏なんかは悪い部分を作中人物にきっちり突っ込まれている)。楊過が苦しむ原因の一端はどう考えても彼女が作っているとしか思えないのだが…。

散々文句を並べてしまったが、本作の悪い部分全てがこの小龍女に集約されているといっても過言ではない。楊過という魅力ある主人公や前作続投のキャラ達、上述したドラマチックなシチュの数々が大きくプラスに働いて、このマイナスを補ってくれているおかげで、優れた作品としての評価を成り立たせている感じがある。

武功
古墓派後継者として幼少から一門の技を学ぶ。本人が登場する前は「世間を騒がしている李莫愁より遙か上の実力」などと言われていたが、いざ蓋を開けると李莫愁にも全真教の丘処幾にも勝てないレベルだった。これはまあ噂の一人歩きみたいなものなので仕方ない。
その後、楊過と一緒に全真教武術と奥義の玉女真経、古墓に隠されていた九陰真経の一部などを習得。師弟で使う「玉女素心剣」はモンゴル最強の金輪法王をも打ち破るほどの強さを発揮した。中盤で周伯通から左右互搏術を習い、一人で「玉女素心剣」を扱えるようになった。
とはいえ、周囲のインフレには今一歩ついていけず、最終的な実力は上の下といったところ。

古墓派内功
陰の気を持つ一門独自の内功。寒玉床による修行で普通の武芸者より遙かに効率よく内力を鍛えている。修行には喜怒哀楽を殺す必要がある。感情が昂ぶるとコントロールが利かなくなる欠点を持ち、そのせいで吐血する場面が度々あった。達人との純粋な内力比べでは劣勢に立たされることも多く、下記の外功と比較するとあまり強いイメージがない。

天羅地網勢
古墓派の入門技である掌法。習得にあたっては、素早い動きで飛び回る雀を掌の圏内に取り込む修練をする。

古墓派軽功
作中でも度々天下無双とされる軽功。格上の金輪法王と戦った際は、常にこれを用いて攪乱し力量差を補った。また中盤では水上飘の異名をとる軽功の名手・裘千仞とも駆け比べをした。内力の差で持久力こそ及ばなかったが、速度自体は互角。

白絹金鈴索術
古墓派外功の一つ。楊過には伝授していない模様。先端に鈴をつけた白絹を振り回す。鈴の音には相手の集中をかき乱す効果がある。白絹そのものに殺傷力はないが、軽やかで変幻自在な動きを利用し、鈴で点穴を行う。剣を使わない時はもっぱらこれを使用しており、小龍女を代表する武功でもある。

美女拳法
古墓派の基本拳法。技の名前は古来の女性故事からつけられている。相手の虚をつく技が多い。力では男性に劣るが、刃を通さぬ金糸の手袋を併用し、相手の得物を折り取るといった芸当も。

玉女剣法
古墓派の基本剣術。軽やかで美しい動きが特徴。

玉蜂針
古墓派の暗器。目に見えないほど細い針状の武器をなげうつ。小龍女自身が飼育している玉蜂から生み出される天然物。刺されると酷いかゆみと痛みに襲われる。一部の蜘蛛毒とは相性が良いらしく、周伯通は玉蜂を刺してもらい自分の毒を解毒した。

玉蜂陣
蜂蜜と口笛で玉蜂の大群を操る。生き物なので不規則に動き、また数も多いため対処法を知らない場合は刺されないよう逃げ回るしかない。毒の威力は玉蜂針と同じ。作中で出てきた主な対処法は蜂が苦手とする松明をたく、内力を込めた風を吹き付ける、など。

全真教武術
古墓派奥義の玉女真経が全真教を破るための技なので、その前段階として学んだ。当初は全真教を侮っていた小龍女だったが、修練を始めてからその奥深さに感嘆している。作中では楊過と玉女素心剣法を展開する際に剣術を使用。

玉女真経
古墓派の奥義。対全真教目的で開発され、あらゆる技を先回りで封じ込めてしまう。また、二人の使い手がそれぞれ全真剣法と玉女剣法を用いる「玉女素心剣」はモンゴル最強を誇る金輪法王を打ち破る威力を見せた。

九陰真経(の一部)
玉女真経の強さに驚嘆した王重陽が対抗心から華山論剣で入手した奥義書・九陰真経の一部を古墓のとある場所に書き記したもの。楊過によって偶然発見され、一緒に学んだ。しかし楊過と違って、小龍女は殆ど使わなかった。

左右互搏術
周伯通より伝授。右手と左手で別々の技を使い手数を倍にする。これによって、玉女素心剣を一人で使えるようになった。

玉女素心剣(単独バージョン)
上記の左右互搏術から着想を得て発明。二人の時より技の速度が大幅に上がる反面、威力は落ちる。しかし作中での強さは凄まじく、モンゴルの食客軍団達を破り、金輪法王にも傷を負わせ、また絶情谷では公孫止を倒している。

人間関係
楊過…弟子にして最愛の夫。小龍女は自分のせいで色々迷惑かけたことをちゃんと謝った方がいいと思う。

李莫愁…姐弟子。所業が悪く一門を追い出され、代わりに後継者となった小龍女を敵視する。実は作中でまともにタイマンをしたことがなく、また内力の修練に関しては小龍女より上、との言及もありどっちが強いのかは微妙なところ。数少ない身内のためか、小龍女は李莫愁に何をされても怒るより哀れみの感情の方が大きかった。

師匠(林朝英の侍女)…小龍女の師匠。作中では言及少なめ。捨てられていた小龍女を拾って育てた。古墓派の内功は喜怒哀楽を取り払わねばならないため、小龍女を厳しくしつけるが、その底にある愛情は弟子に伝わっていた模様。

林朝英…師祖。王重陽との悲恋を知り深く同情する。

孫ばあや…古墓派につかえる老女。小龍女の親代わり。郭大通との戦いで死亡し、楊過を託す。この時、小龍女は悲しみつつもそれを表に出さぬよう修行していたので、表面上は冷徹だった。

郭靖…楊過のおじ。小龍女のことは一門の長として認め、丁重に接していた。師弟結婚話については常識の観点から反対したが、そのうち口にしなくなった。

黄蓉…楊過のおば。悪気はないとはいえ、小龍女が失踪する原因を何度か作ってしまう。

程英・陸無双…楊過と仲良しの姉妹。長く楊過への恋心を諦められなかった二人が、初めて小龍女と対面した際「こんな美人とじゃとても争えない…」と身を引く一幕があるのだが、大事なのは外見じゃ無くて人間性では…。相手が美人だから負けを認める、というのはなんか酷い流れだ。

金輪法王…モンゴルの国師。英雄大宴で楊過と小龍女に敗れて以降、執拗に二人をつけ回す。しかし単独ならば法王の方が圧倒的に上で、小龍女は大宴で戦った時は十手ほどで追い詰められている。終南山の戦いでは小龍女が玉女素心剣を一人で扱えるようになっており、相手を翻弄して傷をつけたが、総合的な力量ではやはり及ばなかったようだ。

周伯通…全真教・王重陽の義弟。小龍女とは馬が合い仲良しに。左右互搏術を教えてもらう。また、お返しというわけではないが、小龍女も玉峰のコツを手ほどきした。

一灯大師…四大高手の一人。小龍女の解毒に助力する。達観した思想の持ち主という面で通じる部分があった模様。

慈恩(裘千仞)…軽功で駆け比べをする。速度は互角だったが、内力の差で引き離される。しかし、周伯通の助勢で最終的には小龍女が勝利した。

丘処機…全真教長老。初めて戦った際はその強い内力に圧し負ける。が、終南山の再戦では技で翻弄し圧倒した。この時、丘処機らは兄弟弟子を含め五人がかりだったが、あっという間に他の四人を傷つけられ、無傷だったのは彼のみ。

郭大通…全真教長老。孫ばあやを誤って殺してしまい、小龍女と戦う。郭大通が彼女を侮ったこともあり圧勝した。

尹志平…全真教の高弟。小龍女に懸想し、ある晩動けない隙をついてレイプしてしまう。が、そのせいで自分自身が長く苦しむハメに。

趙志敬…全真教の高弟。尹志平と小龍女の密事を群雄の前で暴露する。最後は悪事の因果か玉蜂の毒で死亡。

欧陽鋒…楊過の義父。錯乱状態にあった。身内以外で初めて会った相手がこのおかしな人間だったため、小龍女は「せけんはやっぱりあぶない」と思い込んでしまう。また、欧陽鋒が咄嗟に点穴をしたせいで、上述した尹志平の悲劇に繋がってしまった。

公孫止…絶情谷のエロ親父。谷へ紛れ込んできた小龍女へ懸想する。中盤以降、解毒話がちんたら続いた最大の元凶。上述した通り、元恋人が現れた途端婚約を投げ出す小龍女も悪い。江湖はごめんなさいで済む世界ではない。