トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦(原題:九龍城寨之圍城)

2024年公開の香港映画。原作は余儿の「九龙城寨」。ネタバレありなのでご注意ください。
ところで、この前見た「紅楼夢之金玉良縁」でも思ったのですが最近の中国映画は制作公司がメチャクチャ多いのでブログで書くときも困ってしまう。冒頭のロゴ連打が凄い…。

あらすじ
かつて香港に存在した魔城・九龍城砦。黒社会の大物が覇権をかけて争い、最後には龙卷风の勝利で幕を閉じる。その後も各勢力がにらみ合いながらも城塞は一定の平穏を保っていたが、そこへ飛び込んできた若者――陈洛军によって新たな戦いが始まろうとしていた…。

てっきり「東方三侠」とか「龍虎門」とか「功夫」みたいなトンデモ武打映画かと思っていたのですが、九龍城砦は往年の姿をリアルに作り込んでノスタルジーがたっぷり、アクションも変なのが一名いた以外(まぁ耐久力は全員化け物クラスだけど)は割合まともな範囲に留まってました。
とても楽しめたんだけど、評価としてはあと一歩な気持ち。王九みたいなキャラを出すなら正直もっと弾けて欲しかった。正直、色んな功夫映画や武打映画を見てる勢としては、アレはまだ大人しい方だと思う。あと、終盤も主人公が大覚醒してパワーアップする展開を期待しちゃうんだよね…(香港映画病)。
日本のネットで絶賛されているのは、やり過ぎるとゲテモノ扱いになるのでリアリティと外連味のバランスがとても良かったこと、最近はこのタイプの映画が全然放映されてなかったゆえに新鮮味を感じる観客が多いこと、といった要因が多いのかな、と思ったり。
以下雑感
・九龍城砦の魔窟っぷりの再現はとても良かった。電気が通らない、まずそうな飯、道が滅茶苦茶狭い、などなど。でもセット撮影の限界か、同じような場所ばかり写るのはやはり気になってしまった。
・媽祖廟についてる傷、爪功のスゴい達人とかがつけたやつなんだろうなと思ってみてたらフツーに得物で切りつけた跡だった…。香港の武打映画のノリに慣れてしまってるとこういうところで拍子抜けさせられてしまう。
・ラスボスが例によって敗北フラグの硬功使いなのは笑った。そしてやっぱり弱点を突かれるのもお約束。
・この手の映画だと主人公が終盤に超パワーアップしたりするんだけど、本作は仲間の力を結集して戦う。これはこれでアツかった。
・主要な役どころで女性キャラが殆ど出てこないのが、原作を無視してまで無理に女性を出そうとする邦画と違っていいところだなぁと思う。悪いが女子供はお呼びじゃないぜ!
・中国映画は大袈裟な表現が多いので九龍城砦すれすれを飛ぶ飛行機とかも何コレwと思われそうだが誇張ではなくマジですれすれを飛んでたりする。こういう小ネタを調べると面白みが増すと思う。

以下キャスト
古天乐 / 龙卷风
九龍城砦の顔役にしてもと黒社会の実力者。かつて城砦の覇権をめぐって一大抗争を勝ち抜いた。老いてなお凄まじい武術を誇る。多分武侠漫画を欠かさず読んでるからだと思う。ビジュアルがイケオヤジ過ぎて好き。ポジションは完全にいつもの香港武打映画の師匠タイプなので、最後は……。

林峯 / 陈洛军
難民として香港にやってきた若者。龙卷风に匿ってもらい、九龍城砦で生活するように。実は出生に秘密あり。
演じる林峯さん、この前見た「倚天屠龍記之九陽神功・聖火雄風」ではCGだらけでいまいちアクションが堪能出来なかったんだけど本作は生身で動きまくってくれて最高でした。そういえばあっちでは古天乐がパパ役だったな。
悲しみや怒りでいきなり覚醒して超パワーアップしたり、変な達人に出会って力を解放してもらったりするような感じがしたけどそんなことはなかった。でも友達みんなで力を合わせて戦うのは良いよね。

刘俊谦 / 信一
九龍城砦の若きリーダー。龙卷风にも深く信頼されている。胡蝶刀による素早い戦いが得意。刘俊谦さん若く見えるけどもうアラフォーなのか…。というか主役四人みんなそれなりの歳だけど。中国人は女性も男性も老けないよなぁ…。

胡子彤 / 十二少
龙卷风の義兄弟・虎哥の幇会に賊する若頭。信一らとは顔なじみ。ただの賑やかしキャラかと思いきや武術も結構な実力。

张文杰 / 四仔
九龍城砦の若医者。常に面具で顔を隠している。黒社会嫌い。鍛え上げられた肉体を武器にする。女友達のエピソード、もしかして投げっぱなしにされた? まあこれで続編作れるな。

洪金宝 / 大老板
香港黒幇の大物。龙卷风とはライバル関係。九龍城砦を買い取って売りさばこうと目論む。老獪なだけでなく武術の実力も本物。演じるはみんな大好き洪金宝さん。最初は寝込みをあっさり近づかれたりしたので、もしかして今回は動かない役かなぁ~と思ったけどやっぱりサモハンゆえにそんなことはなかった。

伍允龙 / 王九
大老板の側近。おちゃらけているが実力は本物で、硬功とそれを応用した武術を使う。割とリアリティ寄りな本作において一人だけ人外ぶりを発揮。でも香港武打に慣れてる人からするとまだまだ常人の範囲だろう…。ちゃんと主役が四人がかりで戦うのも納得出来るくらいの強さと外道さが描写されていたのが良い。演じる伍允龙さん、ノリノリで歌ったり憎めない感じも出しているのが好き。

任贤齐 / 狄秋
龙卷风の義兄弟。かつての闘争で妻子を陳占に殺され、今なおその血を引いた人間を殺そうと復讐に燃える。演じる任贤齐さんは往年の武侠ドラマでよく主役を演じてた人。

黄德斌 / 虎哥
龙卷风の義兄弟。かつての闘争で片目を失っている。十二少のことを深く愛している。今も優れた武術をほこるが、陈洛军の若さと力に任せた戦いぶりには圧されてしまった。終盤戦では出番無し。

郭富城 / 陈占
龙卷风のライバルだった凄腕の使い手。しかし、戦ううちに熱い友情で結ばれるように。各所で相当な恨みを買っており、その遺恨が陈洛军達へ降りかかってくることになる。鎌アクションがかっこ良い。