スターウォーズEU小説「ニュー・ジェダイ・オーダーシリーズ」を語り尽くす① 全作品紹介・感想前編

現代の神話とも呼ばれる「スター・ウォーズ」シリーズ。
映画旧三部作の終了後も、ノベル・ゲーム・コミック展開によるスピンオフ作品でエピソード6以降の歴史が紡がれ、新共和国の設立、帝国残党や未知の敵との戦い、ルーク・スカイウォーカーのジェダイ騎士団復興など、その世界観と物語はエクスパンデッド・ユニバース、通称EUとして拡張を続けた(現在ではレジェンズと呼ばれているが、古参オタなのであえてこう呼ばせてください)。
本記事で紹介する小説「ニュー・ジェダイ・オーダー」シリーズ(以下NJOと略す)はちょうど新三部作の公開時期であった1999~2003年に刊行され、それまでのスピンオフ作品の総決算ともいえる壮大な物語となった。原書にて全19冊、翻訳では全21冊にも渡る(2冊多いのは長大な原書を分冊して刊行したものが2作あるため)。ディズニーによるシークエル三部作が作られる前は、このNJOの設定や物語が新作でも用いられるのではと、ファンの間でも評判になっていた印象深いシリーズなのである。
しかし現在、ネットを見回しても日本でNJOについて語っている記事やサイトは殆ど存在しない。なので、私自身の備忘録も兼ねて本シリーズの紹介から魅力、考察含めてまとめて語っていこうと思う。
長いので全三回に分けてお送りします。よろしければどうぞご覧ください。

シリーズの概要
エピソードⅣから25年後。帝国を打倒して設立された新共和国と、帝国残党の間で和平協定が結ばれ6年余り、小さな事件はありつつも銀河は概ね平和を保っていた。しかし、別銀河からの侵略者ユージャン・ヴォングが突如襲来。彼らは機械文明を憎み、未知の神を信仰し、そして何よりフォースが一切通じないエイリアンだった。新共和国は反乱軍時代の英雄が軒並み引退し、元老院も元首のボースク・フェイリャを筆頭に堕落気味。ルーク率いるニュー・ジェダイ・オーダーも、手探りで再建された弊害から守護者としてのあり方をめぐって派閥争いが起きている。果たして、銀河はこの新たなる脅威を乗り越えられるのか…というのが大まかな内容。

シリーズの魅力
・敵が強大
NJO以前のスピンオフは、基本的に帝国の残党やダーク・ジェダイが敵であり、これらではどうしても映画シリーズの帝国を上回る脅威になり得なかった(※1)。しかし、本シリーズのユージャン・ヴォングは別銀河からの侵略者というインパクト、凄まじいスケールの軍勢、また既知銀河とは相容れない文明思想(機械を憎む、兵器から日用品に至るまで全てが生き物で出来ている、独自な神々への信仰、フォースが一切通じない)など、これまでのスピンオフには無い新しさがあった。
ちょっと褒めすぎかもだが、スピンオフで唯一、映画シリーズのパルパティーンと帝国に匹敵する強大な敵を描くのに成功していると思う。
※1 パルパティーン復活とか、既知銀河内の未知の敵とか、古代シスの悪霊とか、惑星をお手軽に破壊できる超兵器とか、頑張ってはいるんだけどやはり後付け作品にありがちなスケールの縮小感は否めない。

・壮大なスケール感
ユージャン・ヴォングとの戦争は延べ五年、戦いの影響も銀河全体に及ぶ。映画シリーズはもちろんこれまでのスピンオフも含む沢山の惑星が舞台となる。つぎ込まれる戦力や死者数もスター・ウォーズシリーズ屈指で、まさに大戦争といった感じ。かつてない危機に直面し、それまで敵ポジションだった帝国の残党やハットなどと協力する展開も熱い。

・ルーク率いる新生ジェダイ騎士団
ディズニーのシークエル三部作と異なり、ルークはジェダイ騎士団の復興に概ね成功している。全部で百人程度しかいない小規模組織だが、それでも銀河の守護者として人々に広く認知されている。面白いのは、ルーク自身手探りで組織を作ってきたので旧共和国時代と色々な違いがあること。例えば結婚や出産が可能(ルーク曰く「家族や愛はジェダイを強くするから」)、指導はアカデミー制(後に旧時代と同じく個別指導も取り入れる)、旧共和国時代の教えが失われたためフォースをめぐる思想的対立や派閥が存在する、などなど。
フォースの通じないユージャン・ヴォングを前にして、作中におけるジェダイ達が改めて「フォースとは何か」という問答に向き合い、これがシリーズ通してのテーマにもなっている。他にもハン・ソロとレイア・オーガナの子供であるジェイナ、ジェイセン、アナキンを筆頭に、新世代の若いキャラクター達が主役格として活躍する。本シリーズは彼らの成長物語でもある。

・過去のスピンオフの総決算
上述した通り、映画終了後にスピンオフ作品の積み上げがあり、このNJOではそうした過去作品のキャラ・舞台・兵器がちょくちょく顔を出す総決算的なシリーズになっている。これまでスピンオフを読んできたファンには嬉しいサービスだが、中には雑に殺されたりろくに出番を与えられなかったキャラも多く、賛否両論分かれるところ(ここらへんは後半の考察でまた詳しく)。

そのほか設定関連
本作の時系列は、エピソードⅣにおけるヤヴィンの戦いから約25年後が舞台。
反乱軍は新共和国となり銀河の大半を掌握している。首都はもちろんコルサント。元老院システムも復活し、概ね統治形態は旧共和国と同じだが、そのせいで個々の惑星・民族同士が自分たちの利益を優先して足を引っ張り合うデメリットも蘇ってしまった。またハット、ヘイピーズ、チスのように新共和国成立後も独立を維持している種族もいる。
軍事に関しては正規軍が存在。反乱軍時代の戦艦・戦闘機を運用しているほか、帝国から拿捕したスター・デストロイヤーも用いている(なんなら新しく作ってたりもする)。敵国の軍事シンボルをそのまま使うってどうなの…とは思うけど、パルパティーン死後も強力な軍勢を保持していた帝国残党と渡り合うためにやむを得なかったという事情がある。メタ的な理由を言えばスターデストロイヤーはスターウォーズの顔でもあるので作中から抹消したくなかったのだろう。Xウイングをはじめとする主力戦闘機はシークエル三部作のように世代更新されており、作中でも最新鋭機のXJ型が活躍している。



全巻紹介・感想(感想はネタバレ全開なので伏せ表示です。ご注意ください)

新たなる脅威(原題:Vector Prime)
帝国を打倒し、概ね平和を取り戻していた銀河系。しかし銀河の端にあるアウター・リムでは、別銀河からの侵略者ユージャン・ヴォングの先遣隊が押し寄せていた。彼らはあらかじめ各地にスパイを送り込み、惑星同士の紛争を扇動して新共和国の目を侵略から反らしていた。未知の敵と遭遇したルークたちは初陣で辛くも勝利をおさめるが、とてつもなく大きな犠牲を払うのだった…。

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暗黒の潮流(原題:Dark Tide I: Onslaught)
ユージャン・ヴォング侵略軍の次なる攻撃準備がアウターリムで密かに進んでいた。ルークは全ジェダイを召集するも、フォースの通じない敵といかに戦うべきかで皆の意見は割れる。レイアも元老院へ復帰したが、政界の要人達は平和慣れしており、一部を除いて新たな脅威には無関心だった。内部に敵を抱えた状態で、新共和国の苦しい戦いが続く……。

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アイソアへの侵攻(原題:Dark Tide II: Ruin)
続くユージャン・ヴォングの攻勢に、ようやく重い腰をあげた新共和国元老院。しかし討議に時間を費やし防衛の準備は遅々として進まない。レイアは自ら汚名を着ることを顧みず、ユージャン・ヴォングを阻止出来る位置にいる帝国残党へ支援要請に向かう。
一方、ジェダイ達は辺境惑星ガーキでの潜入任務で、ユージャン・ヴォングに強烈なアレルギーをもたらす植物を発見。ユージャン・ヴォングの司令官シェダオ・シャイも程なくその事実を突き止め、植物の原産地である惑星アイソアへと侵攻を開始する…。

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英雄の試練(原題:Agents of Chaos I: Hero’s Trial)
チューバッカの死から半年、故郷キャッシークで葬儀が故郷で行われた。未だ悲しみから立ち直れないハンだったが、ふと再会した旧友のロアにヴォングへの仇討ちを持ちかけられ、銀河のために奔走するルークやレイアを尻目に旅立ってしまう。
一方、ユージャン・ヴォングの第二陣は次々に惑星を落とし、銀河の中心を目指していた。そしてジェダイを潰す策謀として、新たにスパイを送り込もうとするが……。

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ジェダイの失墜(原題:Agents of Chaos II: Jedi Eclipse)
ユージャン・ヴォングの侵攻ルートは銀河の中程まで食い込んできた。新共和国は未だ適切な対応が出来ず、次々に惑星を奪われ難民も増える一方。私欲まみれのハット達はユージャン・ヴォングと和平交渉を結びつつ、裏では共和国にも情報を売ろうとする。
不利な戦況を覆すべく、レイアは中立を保つヘイピーズ星団への協力要請に、ジェダイ達はコレリアにある古代兵器センターポイントの起動へ向かう…。

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バランス・ポイント(原題:Balance Point)
ユージャン・ヴォングの侵略はとうとうコアワールドまで及んできた。戦いの中、ばらばらに散っていたスカイウォーカー・ソロの家族達は期せずして惑星デュロに集う。しかし、そこにもウォーマスター・サヴォング・ラ率いるヴォングたちが侵攻してきた。銀河が傾く不吉なビジョンを見たジェイセンは、フォースを使うことを拒否していたが……。

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征服(原題:Edge of Victory I: Conquest)
ジェイセンに負けた屈辱から、サヴォング・ラは全銀河へジェダイを差し出すよう脅迫。恐れに負けた人々によってジェダイ狩りが始まる。
そんな中、アナキンはヤヴィン4のジェダイ・アカデミーが狙われる夢を見て、単身Xウイングで駆けつけた。大半の仲間を助けたが、親友のタヒーリがヴォングに捕らわれてしまう。負傷してライトセーバーも失ったアナキンの前に現れたのは、奴隷階級に落とされたヴォングの兵士だった。ヴァ・ラプーングと名乗るその男は自分の復讐のため、アナキンに助力を申し出るが…。

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